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2013年12月13日20:08

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■男って面倒くさいナー (2)

   子供の頃は庭でしゃがんで小便すると小便の勢いで
   地面に穴があいた。
   その穴に蟻がおぼれたりすると本当にうれしかったものだ。

   だから、私は蟻の巣めがけて小便することもあった。
   こっそり快感に酔っていたら、兄にみつかって、「どけ」と
   云われて、おしりをずらすと、兄は半ズボンからチンチンを出して、
   私のみつけた蟻の巣めがけて、高いところから、シャーッと小便をした。
   本当に口惜しかった。

   兄は十一歳で死んだから、かわいそう。
   もっと沢山蟻の巣みつけて、小便かけさせやりたいと、六十五の
   バアさんの私が、水洗便所に坐ったまま思っている。
   兄ちゃん栄養失調で死んだからかわいそう。


   私は北朝鮮やアフリカの飢えた子供を見ると兄ちゃんを思い出す。
   目がでかくてぎょろついていて、ばかに歯が白く見える。
   目がでかく見えるのはやせて顔がちぢんでいるからだ。
   兄ちゃんがあれ程飢えていたわけではないが、かわいそうに
   生まれつき目がすごくでかかったのだ。

   赤ん坊の兄ちゃんを乳母車にのせると、人が集まって、
   「何て大きな目でしょう」と人々が云ったそうだ。
   その頃、家はまだ金持ちで、イギリス製の立派な乳母車にのって
   いたのに、生まれたときから、アフリカの飢えた子供と同じ位
   でかい目玉をもっていたのだ。三歳位の私と五歳の兄ちゃんが
   並んでいる写真を見ると、そのでかい目がひどく利口そうに見える。

   十一歳で死ぬまで、ひどく利口そうな目に見えた。
   兄ちゃん、あんたのこと覚えているのは世界中で六十五の私だけ
   なんだよ。たった一人だけなんだよ。
   私が死んだら、兄ちゃんのこと思い出す人、世界中誰も居なくなるん
   だよ。
   でも、はげてしわくちゃの六十七の兄ちゃんなんか見られなくて、
   よかったのかも知れない。



   
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