●2012年11月03日(土) 晴れ
▼昨日は、よく晴れた。
昼休みに喫茶店を出て、いつもの交差点で
青空を見上げると、黄色に黒い縞のある
ミツバチが飛んでいる。
青い空にミツバチが
くっきりと見える。
ミツバチは、私が目を動かすと
いっしょに動く。
▼帰って、その話を妻にした。
そして、目薬を差して様子を見た。
蚊が飛ぶ話は、よく聞く。
しかし、黄色のミツバチが飛ぶのは
聞いたことがない。
▼「蚊の飛ぶ話」とは、次のような眼の病気である。
目の前を ≪蚊や糸くず、ゴミ≫ のような「浮遊物」が
飛んでいるように見えませんか?
この浮遊物の形は、糸状だったり、粟粒のようだったり、
丸い輪のようだったりします。
また、半透明だったり、黒い粒のような色をしています。
視線を動かすと、一緒に移動してきます。
瞬きをしたり、目を洗ったり、こすっても
一向に消えることはありません。
数も1個だけでなく、多いときは数十個の場合もあり、
特に明るいところでははっきりと見えます。
一度気にし出すと、気になって仕方がありません。
こうした目の病気を『
飛蚊症』といいます。
▼「飛蚊症(ひぶんしょう)は、目の疾患のひとつ、あるいは症状のひとつ。
眼科分野では遭遇する頻度の高い症状である。
目の内部を満たす硝子体が混濁することによっておこる。
硝子体混濁の原因には、次の3つがある。
1.生理的飛蚊症(病的ではないもので生来のものであることが多い)
2.後部硝子体剥離(病的ではないもので、加齢・強度近視・打撲などによるもの)
3.その他(網膜裂孔、網膜剥離、硝子体出血、ぶどう膜炎などの病的なもの)
強度近視の眼は飛蚊症になりやすいと言われている」
▼「あんた、あした土曜日だけど、やってる病院あるんじゃない?」
「う〜ん」と私は生返事をする。
ミツバチは、私が仕事に夢中になっているときは
視界から消えており、一息ついたときに現れる。
夕方、職場を出る頃には、蜜蜂は姿を変え、「ぞうり虫」になっていた。
それは右目の上奥にいて、半透明のアメ―バー様で
私の眼球の動きに合わせて動く。
くっきりとした「黄色のミツバチ」は、現れない。
私は、ちょっと安心した。
▼土曜日、きょうも、よく晴れた。
景色は、「秋」をすっ飛ばし
「冬」になる気配だ。
きのうからパッチをはいた。
7日は「立冬」である。
私の「10年連用日記」は、2005年から2014年までであるが
「11月7日」のページを開くと、2007年と2011年の2回を
除けば、あとの8年はいずれも「立冬」としてある。
暖かい穏やかな日もあれば、木枯らし1号が吹く日もある。
そんな今ごろの日に、「立冬」はやってくる。
▼山田太一の脚本で、笠智衆が主演したドラマに『3部作』と呼ばれる
作品がある。
『
ながらえば』(1982年)、『
冬構え』(1985年)、『
今朝の秋』(1987年)の3本である。
「老い」や「死」をテーマにしたものだが、どの作品も切々とせまるものがあり、
泣けてくる。
晩年の緒方拳は、笠智衆を理想としたのだそうだが、人が生き、老いていく姿を
笠智衆は「自分が演技でするのでなく、そこに存在すること」で、「役」と「本人」の区別が
つかぬほど自然に演じている。
▼「今朝秋や見入る鏡に親の顔 村上鬼城」
「冬来れば母の手織りの紺深し 細見綾子」
「今朝秋」とは、立秋の日の朝のことで「今朝の秋」ともいう。
「冬来る」「冬に入る」は、「立冬」のこと。
どちらの句も、季節の変わり目の思いや心象である。
ドラマ『今朝の秋』を見てから、ずっとあとになって、
私は『歳時記』で、「今朝の秋」「今朝の冬」が、「立秋」や「立冬」の
朝であることを知った。
こんどの火曜日、6日は年休である。
視界をひょいひょい飛んでいる「ぞうり虫」といっしょに
私は、眼科に行こうと思っている。
『今朝の秋』の一場面
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