●3月14日(水) 晴れ
▼10日程前、仕事帰り喫茶店に寄った。
小一時間、「本」を読んで
そこを出て、駅に向かった。
改札の手前で、上着のポケットに手をつっこんだが
定期入れがない。
左ポケットには、いつもハンカチとティッシュと定期入れを
収めるのだが、定期入れだけがない。
念のため、入れる筈のない右のポケットを探るが、
いつもどおり、タバコとライターが入っているだけで、定期入れはない。
ズボンのポケットも見るが、左に小銭入れ、右に携帯電話が入っており、
これも、いつもどおりだ。
▼いま着ているダウンコートは、ポケットが斜めに付いていて
底が浅い。
喫茶店でコートを脱いで横に置いたときに、
何かの拍子に、定期入れが落ちることはあるかもしれない。
でも、定期入れだけが落ちるはずはない。
おそらく、職場で制服から私服に着替えたときに、
定期入れを移し替え忘れたのだと、思う。
そう思うが、更衣室でポケットのものを移し替えたときの
定かな記憶がない。漫然としている。
▼職場にあるはずだ、と思いつつ、喫茶店まで来た。
私が座っていたテーブルに、すでに次の客が座っていたら
いやだなぁー、と思いながら喫茶店のドアを開けた。
女店員が、おやっという顔をしたので、
私は定期入れが落ちてなかったか、聞いた。
「さぁ・・」というので、さっきまで座っていた席に行くと、
幸い客はおらず、私はテーブルの下をのぞいて、それらしいものが
ないので、そそくさと店を出た。
▼家に帰って、妻に報告した。
「どっかで、定期入れを落としたかもしれない・・」
職場の制服にあるかもしれない、ということは言わなかった。
それは、制服のポケツトになかった場合に備えてのことだった。
翌日、出勤してロッカーを開け、制服の上着の左ポケットを探した。
定期入れは、あった。
が、思っていた通り定期入れがあったことの安堵感よりも、
制服の左ポケットから移し替える際に、定期入れがないことに気づかず、
また、あとから定期入れを移し替えたかどうかを思い出せないことに
私はショックを感じていた。
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