■雑誌・欲望・広告（1）
◆イ・オマンテ
●いま、身辺整理をしていて、「本」や「雑誌」を片づけ、処分して
いるが、捨てる前に、写真を撮ったり、ちょっとコメントを
つけて、それを「別れのあいさつ」がわりにしている。
そしたら、ある「本」を読んでいて、こんな記述を発見した。
「アイヌでは、すべてのものに霊魂を認めていたことは、
次の話からもわかる。
ある一人暮らしの老人がいて、身体が不自由であったので、
遠く離れた便所にいくことができず、いつも溲瓶（しびん）の
厄介になっていた。が、たまたま、老人ホームに入居することに
なり、居室に便所が設置されているので、溲瓶の必要が
なくなった。そこで、老人は溲瓶にイナウ（木幣）をつけて
処分したという。
イナウは、アイヌが儀式のときに必ず使用する、神聖な
祭具である。その老人は、日頃、世話になった溲瓶に感謝する
ために、イナウを添えたのである。
イ・オマンテは「熊送り」のときばかりに、なされるのではない。
（「イ」は「物」、「オマンテ」とは「送る」の意） 」
谷川健一「
うたと日本人」講談社現代新書1513
●「もえろ、かがり火、ああ、満月よ」と歌う、あの
伊藤久男の
バリトンが懐かしい「
イヨマンテの夜」とは、実は、そういうこと
だったのか。
長い間、「イオマンテ」とはアイヌの「熊祭り」とばかり思っていた
私の蒙を啓（ひら）くとともに、私は、いま自分がやっているのも
この「イオマンテ」であることをはじめて知った。
（注）
熊祭（イヨマンテ）の夜
歌：伊藤久男
作詞：
菊田一夫
作曲：
古関裕而
アホイヤアーアアア
イヨマンテー
熊祭（イヨマンテ）
燃えろ かがり火
ああ満月よ
今宵 熊祭り
踊ろう メノコよ
タム タム 太鼓が鳴る
響き 唇 我によせてよ
アアーアアー イヨマンテ
熊祭（イヨマンテ）
燃えろ ひと夜を
ああ我が胸に
今宵 熊祭り
可愛い メノコよ
部落（コタン）の 掟やぶり
熱き吐息を 我に与えよ
アアアアアアヽヽヽヽ
イヨマンテ
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