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2011年09月15日19:27

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■虫のこえ(3)

●9月15日(木)  晴れ

 ▼ところで、
  むかし、鈴虫と言っていたのは、今の「マツムシ」で、
  むかし、松虫と言っていたのが、今の「スズムシ」である、
  という「説」がある。

  説というより、いまや通説で常識に近いらしい。
  高校の古文でもそのように教えられている。
  試しに手許の古語辞典を開いてみると、

    まつむし[松虫] 昆虫の名。今のスズムシ。
               秋の夜、リンリンと澄んだ声で鳴く。
    すずむし[鈴虫] 今のマツムシの古称。

  と書いてある。(金田一京助監修『明解古語辞典』)


 ▼私の手元の辞書にかぎらず、
  近代辞典の先駆けといわれる大槻文彦『言海』以来、
  「マツムシ・スズムシ入れ替わり説」はどの辞典も踏襲してきた
  立場であり、学会の「定説」なのである。

  しかし、本当にそうなのだろうか、と疑問を呈した人がいた。
  昔も今も、リンリンと鳴く虫を「鈴虫」と呼び、
  チンチロリンと鳴く虫を「松虫」と呼んでいたのであって、
  二つの虫の呼称に入れ替わりはなかった、というのである。
  異を称えたのは学習院大学・教授の松尾聡であった。
  (『国語展望』84号 1990年2月)


 ▼鈴虫と松虫の呼称に入れ替わりが果たしてあったのか、なかったのか、
  その辺の事情について、昼休みに読んだ「本」に、詳しく書いてあった。

    
    
フォト


         白石良夫・著『古語の謎 書き替えられる読みと意味』(中公新書)



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