●3月19日(土) 晴れ
▼きのう、職場は朝から慌ただしかった。
神戸市から、これまで対象外だった「中間所得者層向け住宅」も
こんどの震災の「被災者受け入れ」の住宅に含めたからだ。
それらの住宅で、現在「空き室」になっている部屋に受け入れるもので、
「空き室」点検を行い、4月1日から入居可能になるよう緊急手配するものだ。
カーテン、布団、照明、電気ポット・・・などの物品の手当てから、
いわゆる「洗い」と言われる、埃のたまった部屋の掃除や、その他、もろもろの
手配が始まった。
私の職場は、業務委託を受けて、神戸市に代わって市の業務を行う「指定管理者」に
なっているからだ。
▼この職場の「居候」である私は、それらの動きを黙って仕事をしながら、
見て、聞いている。
午後3時ごろになって、通常の巡回業務から帰って来た同僚は、
「俺も、あればするんだが・・なー」と言った。
なんでも、イチローが1億円、こんどの震災に寄付したらしい。
「ジャンボ宝くじが当たればなー!」
順番に帰って来た同僚は、いままで口にしなかった震災の話を始め、
東京電力の社長のことも話題に上った。
「あれから、社長の記者会見はあった・・?」
「トーデン、出んでしょう。出て、トウデン!」
みんな、どっと笑った。
▼あちこちで「募金活動」をやっている。
今朝の妙法寺駅では、須磨の市議会議員が募金箱をもってきて
呼びかけいてたが、足早に改札へ向かう出勤の人達は
ほとんど誰も見向きもしなかった。
もう、何回か、募金した人も多いだろう。
うちの職場でも、「地域独占気体燃料会社グループ」と、子会社の
「ガスイズベスト・セキュリティ」独自の募金と、両方でやっており
どちらにも協力するよう朝礼で話があった。
▼しかし、ふと思うのだが、この募金活動を行う団体は、被災地へ
この募金を届けるとき、「団体名」で届け、寄付した「個人の名前」と
その「寄付額」の目録など、手渡すことはないのだろう。
まず初手から、香典のご芳名帳のように、お名前・住所・金額を明らかにする
という発想がない。
「募金」=「無名」という観がある。
だが、たとえ1円たりとて、出し主のいないカネはない。
▼私の墓のある、淡路のお寺では、まだ檀家制度が健在で、
本堂や庫裏の修復には、檀家総代がその必要額を明示し、
各檀家に、拠出を要請する。
そして、寺内には、たった1円であっても拠出に応じた人の
氏名と金額が刻まれた「銘盤」が建っている。
イチローの話を聞いて、私はこの「銘盤」を思い出した。
我が社も「募金活動」をするのなら、住所・氏名・金額を明記した
「目録」といっょに、義捐金を寄付すべきではないか。
そして、社長みずからが「勧進帳」の筆頭に名前を記し、それを
社員にまわすべきではないか。
▼その人の出せる範囲でいい。出せない人は出さなくてもいい。
するもしないも「ボランティア」である。
言いだしっぺが「勧進帳」を回すのである。
東電社長や日赤役員や経団連のお偉方、鳩山母子など、すぐ思いつく
錚々たるメンバーに「勧進帳」を回してはどうか。
ログインしてコメントを確認・投稿する