■「こちら、執事です」
●きょうも、昼ごろに、のこのこ起き出してきてミクシイのページを
開いたりして遊んでいる。
いま、目下の私の仕事は「捨てること」である。
あの少年が、家を焼き払うことで、父からも、家族からも
あるいは学校からも解放されて、「家の別れ」や「すべての別れ」を
咄嗟(とっさ)に思いついた心情を、私は理解できないことはない。
私だって、宮崎から神戸に出てくるときは、それは逃げ出すように
出てきたのだった。大学に進学したのは、大学に行きたいよりも
家を出たかったからだ。
それは、「家の別れ」だった。母と妹を捨てて、父からの逃亡だった。
●そして、その後、大学から生協に飛び込むとき、それもひとつの
別れだった。それは「自分との別れ」、「生きなおす」ための
「すべての別れ」だった。
「本の別れ」なんか、何の苦もなかった。服や食器やいろいろの道具、
「家財の別れ」も平気だった。所有物の一切合切を捨てるか、
人にあげた。
あのときは本当に、焼き尽くされた原っぱに立って、「裸一貫」、
人生をやり直すような気概だった。
「本は買うまい」「自分の頭で考えろ」、そう思った。
それはまるで、「公理」からはじめる「幾何学」のように、
私は、「自分」を中心点に据えて、「思考と行為」の線分を引いて
いくような作業だった。
それが、いつの間にか「本」を買い、「本」が増えたのだ。
●だから今も、いっそ、「四畳半」か何かのアパートを借りて、
この身ひとつでそこに移り住んだら、どんなにか楽だろうかと
私の気持ちは思ったりする。
「本の別れ」だけでも、私は今、すでに、うんうん言っている。
いっそ何も考えず、一気に捨てる・・。
やけの気分も起きてくる。
で一方では、現実には、こうやって遊んで気楽にやっている。
二三日前から、「
買った本」と「
古い本」の(
顔と
名前)の
二本立てでWEB上に記録したら、それで「
本のわかれ」は
できるのではないか、と考えたりしている。
※ 参照
◇「本」の整理法
・Web Book「
買った本」
・トピック<
古い「本」たち、「本の別れ」と「本の顔」>
・フォトアルパム「
古い本の顔」
・データベース「
古い本の名前」
●妻からは、このような、昼夜逆転したような「私の生活」を見て、
「もうこうなったら、わたしは徹底的にアンタをいじめてやるから。
わたしがナンボ心配して注意しても、言うこと聞かヘン。
そんなにパソコンがいいなら、パソコンと結婚したらどう?
もう、アンタのことなんか知らんわ。勝手にやってれば・・。
わたしも勝手にやるからサ!
ああ、いいのよ、わたしのことなんか気にしなくて。
もともと、気にもしていないンでしょう?」
と、まで言われている。
●私はいい「身分」なのである。
ちゃんと妻の言うとおり、自分の健康に気をつけ、毎日
規則正しく、礼儀正しい生活をすれば、それですべて十分なのである。
それに何の不足があるのか。
何もない、そうではないか。
・・・・・
●もう数年も前から、「私のものはあなたのもの」「あなたのものは
あなたのもの」と、言ってある。お金も何もすべて妻のものである。
私は「居候」のように自分のことを思っている。私の名義になっている
預金の口座があるが、これだって、すべて妻のものである。
そのくらいの資格は、妻にはあるのだ。
それは、私が妻に頭が上がらないとか、妻が怖いとか、妻に弱みが
あるということでは決してない。
もし、私が何かを稼ぎ出しているとすれば、それはたしかに
私の労働によるものかも知れないが、その私の労働はすべて
妻のおかげであって、私の存在や、私の労働はすべて妻の支えが
あったからこそ、成り立ったものだ。
そういう意味で、私から紡ぎ出されたもののすべての所有権は
妻にある。
一時、暫定的に私が預かり管理しているものがあるが、それは
私が「執事」として、ご主人にかわって預かり管理しているに
すぎない。
●このことは、はっきりしていて、妻と私の間に聊(いささ)かの
齟齬(そご)もない。完全なる「了解事項」である。
なのに、その「執事」が執事たる分限を忘れ、遊び呆けているので
ある。
それで、妻から叱責を受けいてるのであって、非はすべて私に
ある。
で、私といえば、「つかこうへい」さんのように「言い訳ばかり
上手になって」、のらりくらり。
暖簾(のれん)に腕押し、糠(ぬか)に釘(くぎ)。
柳に風の馬耳東風。
豆腐にかすがい、蛙(かわず)の面(つら)にションベン。
私自身は、そんなつもりはないのだけれど、最近の私はそのようで
あるらしい。
「アンタの言うこと、私は信じとらんからね。
信じとったら、ウソなら腹が立つ。
もう、アンタのことナンも信じとらん」
そう言われている。
●もう、手遅れではあるが、私は提案する。
「なぁ、旅行、行こうか、旅行!!
もう、しばらく行ってないじゃないか」
「えぇ、旅行? この間、九州行ったじゃない!
北陸のカニツアー、あれ行ったのいつだった。
高専の忘年会も淡路でやったじゃないの」
「高専の忘年会」というのは、前にも書いたことがあるが、
次男の卒業した学校の仲良しグループの、その親と子供たちが
年一回、泊りがけで開催する忘年会である。次男たちが高専を
卒業してもう10年になるが、いまだに続いている。
だから、小旅行的なものを(法事なんかも入れれば)、勘定すると
年に何回かは行っているのだ。
●私は、もう一押しする。
「いつ死ぬかわからんし、元気なうちに旅行して
お金は有効に使わないと・・!」
「なに言ってんのよ。お金は全部、私のものでしょうが!!」
「うん。そう、そう。
それで、萩・津和野・秋吉台・宮島・錦帯橋ってコース、
どうかナー」
「一泊で、ずいぶん欲張ったコースね」
「そしたら、これは。厳島神社・錦帯橋・秋吉台・青海島・萩・
津和野・瑠璃光寺。あれ、こっちのほうがもっとハードかな。
新神戸が7:30〜9:00出発、帰りが翌日20:30〜22:30。
2名様1室、おひとり27,800円。安いやんか!」
●これが、昨夜の会話であった。
そして、いましがた妻から電話がかかってきた。
「もしもし、わたし。あのねー、7月18日−19日と言ってたけど
19日は休みの人がいてダメ。17日−18日なら行けるわ」
「は〜い、17日−18日でございますね。少々お待ちください。
スケジュール表を確認してみます。はい、そのコースは
17日−18日もやっております。お値段の方は同じです」
「だったら、それね!」
「は〜い、わかりました。それでは執事めが、只今より手配いたし
ます。毎度、ありがとうございます」
「じゃぁ、頼んだよ。よろしくね!」
「は〜い、万事よろしく手配させていただきま〜す」
●さぁ、さぁ、これからリファーレ横尾の「JTB」に行って、手配、
手配。ミクシイなんかで、遊んでいる場合じゃないんだよねー。
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