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2010年11月07日20:43

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■寛容について

●11月7日(日)  曇りときどき晴れ

 ▼団地の掃除が始まったとき、ちょっと小雨が降りだして
  きょうは15分くらいで、月一回の定期清掃は早々と
  終わりになった。

  家に引き上げると、晴れて来た。

  イチョウもマツも、大きな枝が払われて
  今年の落葉の量は少ない。
  それは、この棟の住民の高齢化によって
  大胆な剪定が希望されたからだ。

  来年は、10年に1回まわってくる
  3回目の役員の年になる。

  
 ▼11月に入って、1週間が経った。

  1日、月初めの月曜日だった。
  前日の雨で舗道に水溜りができていた。
  それでも新しい月の始まりが、
  仕事初めの月曜日というだけで
  なんとなく清々しい感じがした。

  3日、文化の日で休み。
  ショウとアツシがやって来た。
  今月のお小遣いをもらいに来た。

  5日、歯医者に行った。
  今年二度目の歯医者通いである。


 ▼「歯」のことを考えると、「寛容」を思い出す。

  ここに移ってきてから、私はずっと
  妙法寺駅から西に坂を登ったところにある
  医療生協の歯科医院を利用している。

  五、六人の担当医がいて、
  曜日毎に医師が替わる。
  中には若い先生も女医もいる。

  もう二年近く前になるが
  左下の奥のブリッジが傷んで来て
  歯医者に行った。

  三十前の新顔の医師だった。
  ブリッジをはずそうとするが、
  なかなかとれない。
  医師は力を入れる。少し荒っぽい感じだ。
  しかし、それでもはずせない。

  そこで、ペンチのようなもので
  奥の歯を左右にこぜった。
  瞬間、何かパキッというような音がして、
  「あっ」と医師がつぶやくのが聞こえた。


 ▼私にもわかったが、それは
  ブリッジを被せていた奥歯が二つに割れる
  音だった。

  医師はどうこのことを説明したらいいものか
  ためらった風だったが、こう言った。

  「もう、未練はないでしょう!」

  そして、さっさと奥歯を抜いてしまった。
 

 ▼自分の失敗を認めることは、なかなか
  むずかしいものだ。
  しかし、失敗だったことは自分自身が一番よく
  知っている。

  そんなことを思って、
  不思議と咎める気にならなかった。
 

  が、これは「寛容」の精神というより、
  抗う力の衰えかもしれない。


  武田泰淳は、私よりもずっと若くして
  総入れ歯だったようだし、「楢山節考」の
  おりん婆さんは、歯がよすぎて自分で折ったくらいだ。

    
  「歯」のことで、そんな、つまらん事を考えていた。


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