●7月25日(日) 晴れ
▼炎天下という言葉を思い出した。
昼休み、喫茶店を出て交差点で信号待ちをする。
私は、いつもここで
何かを思うようだ。
遠い太陽のように 野田宇太郎
想いはときに昼間のような
明るさの中に私を佇(たたず)ませる
私の影は菫色(すみれいろ)に細長く
寒い風に竪琴のように慄(ふる)えて鳴る
しかし日向に面した片側で
私は言葉もなく幸福を捕らえている
危い地球のように
私の若い命が仄(ほの)かな光の中で廻っている
廻りながら月日をかぞえ
むなしく昼と夜とを染め分けている
こんな時私の言葉が哀しいのは
たったひとつの太陽があまりに遠くあるからだ
▼灼熱の太陽に焼かれながら、思い出したのは
野田宇太郎の詩だった。
この熱気の中で、どうして
「私の影は菫色に細長く
寒い風に竪琴のように慄えて鳴る」
のだろう。
いま読むと、若い詩人の鼓動が聞こえてくるようだ。
それは「遠い夏の日」にも似ているような感じだった。
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