■夢の如く

●７月１７日(土)　晴れ


　▼きのう夕刻、退社前、事務所の天井の蛍光灯が
　　ふわっと、たよりなく、一瞬消えかかる。

　　おやっと思ったとき、
　　雷音が轟き、にわかに大粒の雨が窓を打ちつける。

　　誰言うともなく、「梅雨明けだ」との声・・。


　　ふたたび遠くで雷鳴が聞こえ、
　　外は薄暗くなって、雨足はさらに激しくなった。



　▼更衣室で着替え、外に出ると
　　もう雨がやみ、陽が射している。

　　地面から、むっとする熱気と蒸気と
　　土埃みたいなものが昇ってくる。


　　見慣れた町の帰り道を歩く。


　　一週間ほど前、巡回のとき、廊下の壁にとまっている
　　セミを見つけた。
　　手を延ばしても逃げず、セミは私の指の間で
　　ジジジィーと、小さく鳴いた。

　　離すと、非常階段の南の空に低く、飛んでいった。



　▼雨のせいで、大規模修繕工事が遅れているという。
　　きょう我が家の窓のアルミサッシのパッキンの
　　取り替えがあった。

　　部屋うちにも、工事の人が入ってくるというので、
　　妻は出かける前に、急いで部屋の掃除と片づけをした。


　　工事の人は、申し訳なさそうに、部屋の中を
　　見ないように、積年の塵の山をよけて窓に向かった。