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2010年05月29日23:53

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■「わぶ」

●5月29日(土)  晴れ

 ▼メモ
  ・パックイン・ジャーナルを見たあと
   夕方まで寝る。
  ・昼飯も食わず、昏々と寝て
   気分すっきりとする。
  ・古典文法や大津栄一郎『日本語誕生論』など
   ひっぱりだす。
  ・長男に電話する。元気で、ほっとする。


 ▼小西甚一『古文の解読』を拾い読みしていたら、こんなのがあった。

   秋の夜は 露こそことに寒からし
   くさむらごとに虫のわぶれば
  
     詠み人しらず(古今集)


  「わぶ」とは、難儀する・困り果てる・閉口する、といった意味であり、歌は

   秋の夜は露もとりわけ寒いのだろう、どの草むらでも虫たちが
   つらい、つらいと鳴いているから。

  と云う事らしい。


 ▼この「わぶ」の連用形「わび」が、名詞の「わび」として使われだしたのは、
  室町時代に入り、茶道が盛んになってからのこと。

  はじめ茶道は、主に金持ち連中の趣味として発達した。
  その結果、道具類もぜいたくな品を使うことが流行した。

  しかし、質素な茶室で、落として割ってもいいような、ありあわせの茶碗でいいから、
  気楽にお茶を楽しもう、と主張する人たちが出てきた。

  これが、紹鴎から利休に引き継がれていく「わび茶」の起こりである。


 ▼つまるところ「わび」とは貧乏のことである。
  
  日本が世界に誇れる「わび」「さび」の文化とは、
  「貧乏」というものを、日本人の感性で、どのように
  「文化」にまで高めたか、その古人の営為のことである。


  「福祉国家」は望めそうもない昨今、貧乏でも暮らしていける
  「文化国家」の建設、これこそ焦眉の事柄のように思う。


  そして、ひるがえって、自分のことを思う。
  貧乏な私はどれだけの文化を築いたのかと。


 
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