●5月29日(土) 晴れ
▼メモ
・パックイン・ジャーナルを見たあと
夕方まで寝る。
・昼飯も食わず、昏々と寝て
気分すっきりとする。
・古典文法や大津栄一郎『日本語誕生論』など
ひっぱりだす。
・長男に電話する。元気で、ほっとする。
▼小西甚一『古文の解読』を拾い読みしていたら、こんなのがあった。
秋の夜は 露こそことに寒からし
くさむらごとに虫のわぶれば
詠み人しらず(古今集)
「わぶ」とは、難儀する・困り果てる・閉口する、といった意味であり、歌は
秋の夜は露もとりわけ寒いのだろう、どの草むらでも虫たちが
つらい、つらいと鳴いているから。
と云う事らしい。
▼この「わぶ」の連用形「わび」が、名詞の「わび」として使われだしたのは、
室町時代に入り、茶道が盛んになってからのこと。
はじめ茶道は、主に金持ち連中の趣味として発達した。
その結果、道具類もぜいたくな品を使うことが流行した。
しかし、質素な茶室で、落として割ってもいいような、ありあわせの茶碗でいいから、
気楽にお茶を楽しもう、と主張する人たちが出てきた。
これが、紹鴎から利休に引き継がれていく「わび茶」の起こりである。
▼つまるところ「わび」とは貧乏のことである。
日本が世界に誇れる「わび」「さび」の文化とは、
「貧乏」というものを、日本人の感性で、どのように
「文化」にまで高めたか、その古人の営為のことである。
「福祉国家」は望めそうもない昨今、貧乏でも暮らしていける
「文化国家」の建設、これこそ焦眉の事柄のように思う。
そして、ひるがえって、自分のことを思う。
貧乏な私はどれだけの文化を築いたのかと。
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