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2006年05月28日01:18

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●身辺雑記(58)/■とりとめもなく

■とりとめもなく

 ●きょうはヘンな天気だ。

  日中、いっとき、五月のまぶしい陽光が降り注いでいたと
  思ったら、午後からは一変して、春の嵐か、初冬の木枯らしか、
  を思わせるような突風が吹いている。

  あしたは、団地の掃除がある。
  風はまだ、吹き止まない。


 ●短い一日だったが、思うことはいろいろあった。

  きのうの日記は、はじめ「家庭の幸福」というタイトルだったが、
  そこまで書き及ばず、長男のことを書いて、「整理・整頓」と
  ということになった。



  吉本隆明「家族のゆくえ」は太宰治の「家庭の幸福は諸悪のもと」
  という「ことば」から、書き始められている。

  この太宰の逆説を、私も覚えていて、へぇー、21歳も年上の
  吉本隆明が、私と同じように青春期に太宰の「家庭の幸福」を
  読み、そして同じこの「ことば」を覚えているというか、
  反芻し続けていることに、一種の感慨が沸いてきた。


  高見順が、白樺派の武者小路実篤を、やはり少年期から青年期に
  さしかかる時期に読んでいて、そのことを知ったとき覚えた
  驚き(なーんだ、同じものを読んでいる)、と同じものと
  もうひとつ、「実篤」でなく「太宰」ということで起きてくる
  感慨もあった。



 ●太宰の「ことば」は、いくつも覚えている。

  この「家庭の幸福は諸悪の本(もと)」のほか、
  「晩年」に収められた、「葉」の中の「ことば」
  
   「秋まで生き残されている蚊を哀蚊(あわれが)と言うのじゃ。
    蚊燻(かいぶ)しは焚(た)かぬもの。
    不憫(ふびん)の故にな」や

   「花きちがいの大工がいる。邪魔だ」を

  覚えている。


  また、「人間失格」の、竹一が背中をつついて低い声で囁いた

   「ワザ、ワザ」や

  また、堀木に言おうとして、ひっこめた
  
   「世間というのは、君じゃないか」

  という「ことば」を覚えている。



 ●東奥年鑑より引かれた、「津軽」の表紙裏の

    こな雪
    つぶ雪
    わた雪
    みづ雪
    かた雪
    ざらめ雪
    こほり雪

  「お伽草子」の中の「カチカチ山」、狸のセリフ

   「惚れたが悪いか」

  いまでは、もうあまり反芻しない「ことば」もあるが、
  これらの「ことば」は、それぞれ私のある時期の、私の
  問題を照らす「ことば」だった。

  そして、敗戦直後の焼け跡の混乱期、徴用の工科系学生くずれ
  といった心身のデカダンス状況にあった吉本隆明にとっても
  この「家庭の幸福は諸悪のもと」が、同じように、問題を照らす
  「ことば」なのだった。


 ●そのような、書き出し、あるいは「想起」から
  私は、「家庭の幸福」を書いた「太宰治」と、「毒もみの好きな
  署長さん」を書いた「宮沢賢治」
  (手元に本がない。「宮沢賢治全集」は売ってしまった)
  は、案外、近い距離にいるのではないか、
  そんなことを書こうとしていた。


 ●また、「想起」は「想起」を呼び、学生時代の1回生のとき、
  私は、鈴木照雄先生の「倫理学」を受講し、その年度末試験で
  「太宰治と宮沢賢治」をとりあげ、その「近さ」について書いた
  ことを思い出した。


  大学の試験で、いくつかの「優」をもらったが、めったに「優」を
  出さない鈴木先生から、この「太宰治と宮沢賢治」で「優」を
  もらった。

  うれしかった、と同時に、自信のあった「優」だ。


 ●「鈴木照雄」教授からは、ギリシヤ語の「エペーメロス」と
  「アメーカノス」という「ことば」を習った。

  どちらも、「はかなさ」という意味ではあるが、
  「オデュッセイア」では、「エペーメリオス」という言葉が
  人間の性質をあらわすものとして、使われ、
  「一日の生の」(つまり、「つかのまの命の、はかない」)
  という意味で、これが「エペーメロス」である。


  人間は、「幸福よりも不幸のほうが二倍も多い」この世に、
  かげろうのような生を生きる。

   (田中美知太郎/鈴木照雄/加来彰俊「ギリシアの詩と哲学
     平凡社版 思想の歴史 全12巻の第一巻)



 ●人の「想起」は終わることを知らない。
  次から次に、思い起こされることがある。


  西神中央まで行き、まえの会社に「健康保険証カード」を
  返してきた。
  組合健康保険の「資格喪失証明」と「離職票」が届くまで
  私は、「国民皆保険」の埒外にある。

  また、新聞では「三重・社会保険事務所」が「納付率」アップの
  ために年金保険料の無断免除のことが報じられているが、
  反対に、「給付率」カットのための「年金支給停止」のことは
  まだ、問題になっていない。

  私は、前回、「須磨社会保険事務所」に行った折、これに噛みついた。

  今回も、「離職票」をハローワークに届けると、おそらく
  社会保険庁は、私が「雇用保険」からの給付を一切受けなくても
  「雇用保険」と「年金」の二重支給を、事前に防止するという
  名目で、私の年金をストップさせるのだろう。



 ●西神中央の、働いていたときは、いつも寄っていた喫茶店に入り、

   網野善彦「日本中世に何が起きたか」/洋泉社

  を、読む。


  ・「日本は<島国>か」

    この問題提起は大きい。古代、この日本に住んでいたのは
    はたして「民族」と呼べるものか。
    海は、外と隔てるものではなく、
    外とつながるために、交流の海としてあった。
    常識を疑わねばならない。


 ●長男が、一泊して博多に帰っていった。

  D.H.ロレンス「息子と恋人」

  なども、思い出していた。



 ●コミュニテイ「時代とは人々の連なりのこと」には、

   ・「shohoji」さん
   ・「アキ」さん

  を書き込んだ。

   ・「新しく、あるいは、何回も



 
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