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2010年02月21日00:50

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■分水嶺

●2月20日(土) 晴れ

 姫路駅でしばらく停車し、列車は最後尾を先頭にして
 逆方向に動き出した。
 プラットホームを離れると線路は左に大きくカーブする。


 車内では、あちこちで、座席を回転させ、
 シートを反対側に倒して座り直している。
 前の席の二人がこちらに座席を反転させたので
 私たちも、進行方向にシートの向きを変えた。


 列車は姫路を出て、播但線を市川沿いに北上していく。
 車窓から見えるどんよりとした冬空の風景は
 いつのまにか街並みがとだえ、しだいに山間を縫うようにして
 列車が走る。


 山の峰に少しばかり雪が残っている。
 山林には痩せた細い杉が林立している。
 崖の脇を走るとき、むき出しになった山肌が迫る。
 「落石注意」の標識が見える。


 川幅はしだいに細くなり、河原の石も大きな岩がまじる上流に
 さしかかった。
 さて、分水嶺はどこらあたりになるのだろうか、と
 私は思った。


 兵庫県は南は瀬戸内海に面し、北は日本海を臨む。
 いま、市川は列車の後方へ、南へと流れている。
 しかし、どこかでこの川は分水嶺に達し、川は北へ流れるだろう。


 どのあたりまで登って来たのか、山々が目近になり
 視界が狭くなってくる。
 生野の駅を出て、すぐにトンネルに入った。
 そう長いトンネルではなかったが、そこを通り抜けて背後を見ると、
 高い大きな山々が左右から列車を抱き込むように聳(そび)えており、
 峠を越えたことがわかった。


 そして、ゆるやかに線路が下り勾配になっていることにも
 気づいた。
 私は妻に、「もうすぐ川が見える、こんど川は北に向かって、
 日本海の方に流れているよ」と言った。

 そして、その川が見えた。
 列車の右手の方向に川が見える。
 まだ、どちらに流れているかわからない。


 線路が川に近付き、その流れが進行方向に流れていることを
 確認し、私は少し満足した気になった。


 左手遠くに高い山々が見えるが、あれが氷ノ山だろうか。


 列車は朝来を過ぎ、和田山で停車した。ここからは
 京都・福知山方面からの山陰線に合流する。


 神鍋スキー場の案内も出ているが、
 期待した雪はほとんどなかった。
 列車はまた走りだし、川は線路と並行して流れる。
 川幅がどんどん広がり、流れはゆったりとなる。


 これが日本海にそそぐ円山川である。
 城崎はその川口近くにある。
 もう少しすれば、城崎に着くはずである。
 


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