●12月27日(日) 晴れ
今年の12月は暖かい冬のようだが、それでも
中旬から急に冷え込んだりした。
朝、出勤のとき椿谷公園で甲高く鋭い声でさえずり
林の中を飛び渡っていく鳥がいる。
姿が見えないないが、声からするとやや大ぶりの小鳥のようだ。
晴れた寒い朝日の中で、空に響くその清んだ鳴き声が心地いい。
妙法寺駅のプラットホームに並ぶと、
目にほんのりと涙が出ている。
洟もすこし出ているようだ。
わが家の洗面台の蛇口の左右に、青と赤のカランがある。
右の青いカランをひねると水が出る。左の赤のカランはお湯が出る。
私はついつい習慣で右のカランをひねる。
一瞬、跳びあがるように冷たく思う。が、一気に顔を洗う。
妻が「お湯が出るでしょう」と言う。
子供の頃、金盥(かなだらい)というのがあった。
硫酸で処理した黄金色のアルマイトの洗面器だ。
冬、金盥の水に沸騰した薬缶の湯をさして顔を洗ったことがある。
いつもではなかった。
母が湯を注いでくれたのか。
立ち上る湯気が顔をおおい、生温かい湯の感触が
手指にジーンと伝わってくる。
「洗濯桶を金盥って言ってたんじゃないの」と妻が言う。
学生時代、寮の卒業する先輩が、洗濯板とブリキ製の洗濯用の盥を
譲ってくれた。あれも、確か「かなだらい」と言っていたような気がする。
平べったいのが「たらい」で、筒状に見えるのが「おけ」なのかと思って調べたら、
「手洗い」がつまって「たらい」になったとか。
左の湯のカランをひねりながら
数日か前に妻とそんなことを話したことを思う。
●日記「
総目次」
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