mixiユーザー(id:2230131)

2009年12月09日01:48

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Chiquitita

冬の曲といったら、真っ先にこれが浮かぶ。

言わずと知れたアバの代表曲の一つです。
“チキチータ”とは、スペイン語で「小さな女の子」という意味があるそうです。悲しみに暮れる少女(あるいは恋に破れた少女)を励ますというファンタジーがモチーフになっているようです。

基本的に同じ旋律の繰り返しですが、清涼感溢れるコーラス・パートへと切り替わり、ピアノの伴奏とドラムスが元気に飛び跳ねることで、劇的な“静”から“動”へのフックをもたらしている。

このように楽しげなポップですが、これは当時の私的な体験と深く結び付いているせいで、どこか物悲しくノスタルジーを駆り立てるんですね。未だにこの曲を聴くと、あのころの記憶が鮮明に蘇ってきます。
ただ思い出と言っても、具体的な風景とか映像とかじゃなく、僕が脳裏に浮かべずにはいられないのは、とにかく残酷なまでにシンプルな世界の“白さ”である。あるいは“純白”に思えたあの子の心にも例えられるかもしれない。

9年前の冬、僕にとってその白さはあまりに眩しくて、うまく目を開けられなかった。
当時の僕は子供じみた世界に閉じこもっていて、恐ろしく無知で、その反面に無邪気で、だが不器用なまでに純粋だった。
自分で言うのも変だが、その純粋さゆえに目の前に横たわる理不尽さ、残酷さ…そういった“黒いもの”に過敏に反応していた。しかし吸収していったそれらの“黒”を、うまく頭の中で捌くことができなかった。その結果、自分だけが中途半端にグレーに染まってしまったように思い込み、周囲の真っ白い世界との間で距離を感じずにはいられなかった。ちっぽけな僕はその度に傷付き、独り弱々しく泣いていた。その声はまるで「月夜に歌う虫けら」のようだった。

あとになって気付いたのだが、あれは結局のところ自分が白かったのだ。


大切な曲なので、今でも着メロで使用しています。
今や本当にグレーな存在になってしまった気もしますが、毎年この季節になると白い温もりを浴びて初心に帰ることにしています。
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