mixiユーザー(id:2230131)

2009年11月03日00:03

47 view

Hey Venus !/Super Furry Animals

田名網敬一の手掛けた激サイケなアートワークも話題になった、スーパー・ファーリー・アニマルズ8枚目のアルバム。
ただし中身はこんなにイッっちゃってないです。むしろ健全なポップ・ミュージックと評すべきで、ファーリーズとしては比較的アッサリとした風通しの良い作品に仕上がってます。

まず前半は、フィル・スペクター譲りのゴージャスなウォール・オブ・サウンド“Run-Away”、切なさと温かさが同居した“Show Your Hand”、とぼけた味わいのファーリーズ流ノベルティ・ソング“The Gift That Keeps Giving”と、立て続けにポップなシングル曲の攻勢。これらはグリフ・リースのビーチ・ボーイズ的な解釈含め、さすがの王道ソングライティングを堪能できる。しかしその反面、インパクトとしては希薄。
中盤は、ダイレクトなメロディで畳みかけるパンキッシュなナンバーが続く。むしろ本作での聴きどころはこちら。“Baby Ate My Eightball”のぐるぐる回るキッチュなコーラスには、思わず笑ってしまった。これは面白い。そして民族的なキーボードをフィーチャーした“Carbon Dating”(うちの相方は「姫神」っぽいと?)を挟み、後半は一転してメロウな流れに。“Suckers!”はしみじみ泣ける。この辺になると隠れていたサイケ風味も巻き返してきて、ついに本領発揮といった感じ。しかしこれから!というところで、あっという間に本編がフィニッシュ。

基本的にはいつも通りのファーリーズ節が満載なのだが、まわりくどい展開はなく、ストリングスも控え目。全体的にスッキリと抜けの良い感触でまとめられている。テクノ風の楽曲が一切収録されてないことからも、おそらくライヴで再現しやすいダイレクトで即効性の強い曲を揃えようというコンセプトなのかもしれない。しかしポスト・プロダクションとしては近作の流れを継承したままだし、そのためベックの『モダン・ギルト』ほど「あちら側」に吹っ切れた感もない。「明るくポップなファーリーズ・ワールド」というラインにとどまっている。
これは「ファーリーズになにを求めるか?」という話にもなりますが、従来のつかみどころがなく摩訶不思議な感覚が減退した気がするのは、個人的には残念な気がしなくもない。40分足らずという短さもあってか、その点は少し物足りない。
ただしこれは無いものねだりというか、好みによるところも大きいでしょう。
多様なサウンド・ボキャブラリーと、それらのバランスの良い配置。楽曲のクオリティーも期待値をクリア。おそらく長年のリスナーで、これを聴いて否定的な印象を持つ人は少ないでしょう。誰しもが待ち望んでいた「ファーリーズ流ポップ」に対し、かわいくリボンを付けてお返ししてくれた感じです。彼らの中では「秀作」という位置付けですが、今回もまったり楽しめたことは事実です。
0 6

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2009年11月>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930     

最近の日記

もっと見る