●うみうし独語（408)/■腐らない

■腐らない

　●７月１６日(木)　　暑い、湿度が高い、夕方小雨

　　「ここらも梅雨明け宣言したのじゃなかったの・・？」と
　　妻に問うと、まだだと言う。

　　職場で誰かが、そう言っていたようだが、まだなのか
　　と思う。
　　湿度の高い、暑い日だった。


　　夕方、パラパラ小雨。すぐやむ。
　　職場の置き傘をもって外に出る。

　　近頃、職場からの帰り、喫茶店に寄ることが
　　また多くなった。

　　きょう色川武大『狂人日記』を、帰りの喫茶店で読み終えた。



　●次男のところの店に、また泥棒が入ったらしい。
　　これで二回目で、前回の賊と同じ外国人グループにやられたようで、
　　店のゲーム機やパソコンをもっていかれたという。

　　前回、盗難にあって、そこから回復してこようとしていたときだけに
　　次男にとっては痛手のようだ。

　　妻が電話を入れたが、「なんか、疲れているみたい・・」と言っていた。


　　弱り目に、祟り目。

　　きよう読んだ『狂人日記』には、
　　――人として生まれた以上、
　　　　たまには首をチョン切られることだって、
　　　　ないわけじゃないさ。
　　と、刑場で、そう呟いている阿Ｑのことが
　　引用されていた。



　●人として生まれた以上、
　　疲れたり、弱ったり、腐ってしまうような
　　ことは、いっぱいある。

　　そう納得しなければ
　　やっていけないことがある。


　　「本」では、次のような言葉が並んでいた。

　　　　――そういうふうに納得しようとして、
　　　　　　納得できたわけじゃないのだけれど、
　　　　　　納得の筋が、生死(いきしに)の筋を飛びこえて
　　　　　　しまっているのがおもしろい。

　　　　　　自分も阿Ｑに匹敵するくらい阿呆のせいか、
　　　　　　今まで生きてきたうちで、あれもこれも、
　　　　　　納得できたわけではなくて、できないままに
　　　　　　それを現実として月日を送っているようなことが
　　　　　　たくさんある。

　　　　　　　・・・・

　　　　　　そこを呑みこまなければ生きていけないので
　　　　　　むりに呑みこむものの、けっして納得していない。

　　　　　　　・・・・