●うみうし独語（402)/■他律

■他律

　●７月１０日(金)　　曇天、ときどき雨

　　目がさめたのは、６時４０分。目覚まし時計をセットした
　　６時５０分より１０分早く、ひとりでに目が覚めた。

　　さてと、何から始めよう。
　　まず窓を開ける。居間と私の部屋と台所と。あとは開けない。
　　開けると、また閉めなければならないから。

　　蒲団をパッパッと簡単に折り曲げるように畳む。それでおしまい。
　　顔を洗う、歯を磨く。居間に座る、テレビをつける。

　　あっ、そうだ、新聞だ。玄関の新聞をとってくる。

　　きのう帰りにリファーレで買った、クリームペーストとチョコレートペーストを
　　中に塗った細長い棒状のパン２本を出し、牛乳と、桃の皮をむきカットしたのを
　　冷蔵庫から出す。スイカもある。２切れだけ切った。

　　
　●細長いパンはもちもちしていて、歯ごたえがあり、おいしい。
　　クリームペースト１本とチョコレートペースト半分を食べた。

　　桃は冷蔵庫の中で冷やされ、かすかに渋が出てきていたが甘かった。
　　牛乳を飲み、スイカも食べ、私としては上出来の「ほぼ完食」。


　　もう一度、歯を磨く。
　　

　　普段は８時９分くらいに家を出る。
　　

　　まだ、７時１５分。あと１時間近くもあるではないか。

　　目覚ましを１時間遅らせ７時５０分に合わせてセットする。
　　普段も食事のあと出かけるまで、１５分か１０分ほど寝る。
　　これが、なんとも言えぬほど気持がいい。


　●だが、きょうは、朝早くにひとりでに目がさめたりして
　　頭が冴えて、ストンと眠れない。

　　あきらめて、コーヒーを淹れて新聞を広げる。



　　テレビは２度目の同じニュースをやっている。

　　なんか間の抜けた時間が流れる。

　　また、軽く歯を磨く。


　　上着のポケットに、ハンカチやティッシュや定期を入れ
　　ズボンのポケットには、財布と小銭入れと携帯を入れる。
　
　　玄関にカバンを出しておく。帽子をその横に置いておく。


　　ポットの電源を抜く。窓を閉める。私の部屋の蛍光灯をつけておく。
　　これは泥棒よけ。




　●７時５０分、目ざましが鳴る。　とめる。

　　あと何か、しておくことは・・・。
　　テレビを消して、居間の電気を消して・・・
　　傘をもって、それで出ればいい。

　　
　　自分の部屋の椅子に腰かけ、タバコを吸って
　　テレビ画面の隅の時刻表示をカウントダウンするように
　　見ている。


　　おかしなもんだなあー、と思う。
　　時間があまっていても、それが全然使えない。
　　


　●きょうは電話は、かかってこなかったナー
　　と思って立ち上がって、そろそろ出かけようとしたら
　　電話が鳴った。


　　「もしもし、起きてた？」

　　「ああ、起きてるよ！」

　　「そう、それじゃねー！」



　●たったそれだけで、「あんた、やればできるじゃない！」と
　　妻は、きょうは言わなかった。

　　もし、今ごろ電話で起こされていたら
　　遅刻にきまっている。



　●いつもとおんなじ時間に家を出た。

　　階段を降りながら、玄関のカギはかけた、
　　ポットのコードは抜いた、窓は閉めた、居間の電気は消した、
　　私の部屋の蛍光灯は・・・？。

　　ひょっとして消したかも・・・と思いつつ
　　階段を下りていった。