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2009年04月26日00:41

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●うみうし独語(322)/■また十日

■また十日

 ●4月25日(土) 雨 夕方やむ

  あれから、また十日ばかり過ぎた。
  
  先週だったか、帰りがけ
  多聞通りの交差点の角にある寿司屋のオヤジが
  竹箒で舗道の落ち葉を掃いていた。

   「これ、見てみい。なんぼ掃いてもこれやから・・」

   「まぁ、いまがクスノキのシーズンやからなー」

  そばに立っている作業着姿の、市の公園課の職員に話かけている。
  舗道には、ところどころにクスノキの枯葉がうず高く積まれている。


 ●しばらく前まで、朱色や柿色の葉が混じり
  まるで「春の紅葉」のような色どりのクスノキが
  いまでは、すっかり若葉に入れ替わり、新緑のうす黄緑色、
  一色の並木になっている。

  少しずつ、春から初夏の姿に
  変化していく。



 ●仕事は順調に進み、昼休みには
  あいかわらず、武田百合子「富士日記」を読んでいる。

  昭和四十三年七月あたりまで、来た。
  日記は昭和三十九年七月から始まっているので、
  もう四年がたつことになる。

  富士山麓の別荘での日々が書かれたこの日記の中でも
  時はめぐり、歳月は過ぎ去る。

  その日の食事、買い物、お出かけ、ちょっとした出来事、
  村人の話、東京と別荘との行き帰りなど、些細なことをメモした
  この日記の面白さは、「日々は過ぎ去る」ということにあるように
  思う。


 ●日記をつけても、つけなくても
  日々は過ぎ去る。

  つけた日は、過ぎたことを確認するように
  つけない日は、未練を残して消えていくように
  一日が終わる。

  「富士日記」の、一日の日記の最後の一行にも
  そのことが見える。



  ▼昭和四十三年七月十六日(火) 雨
   ・・・夜、ごはん、マトンの缶詰(中国製)、茄子しぎ焼き、ちくわの
   おつゆ、キャベツ糠漬け。
   隣の家も声がしない。私はハタ織り。主人は眠っては起き、ビールを
   飲んで、読書。



  ▼昭和四十三年七月十七日(水) くもり、ときどき雨
   ・・・夜、ごはん、さんま蒲焼、キャベツ酢漬け。
   管理所で、パン四十円、茄子、トマト、キャベツ、卵を買う。三百三十七円。
   アザミの花がよく匂う。草刈り少し。・・・



  ▼昭和四十三年七月十八日(木) 快晴、涼しい風
   長梅雨があがって快晴。ふとんを干す。どのアザミにも蜂が来ている。
   雨が上がると一層匂う。・・・
   夜、ごはん、塩鮭、トマト、漬物、牛乳ゼリー。
   明日帰るので、夜、花子へ電話をしに行く。富士山の八合目まで
   きらきらと灯が続いている。夏休みとなった。



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