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2006年04月06日14:14

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●捨てる/■用・不用 (3)

■用・不用 (3)

 ●私はいまでも「四畳半生活」に憧れている。


  結婚したとき、四畳半一間のアパートだった。

  「ここで、一生暮らせる」と私は宣言した。
  本気で、一生、四畳半一間暮らしを考えていた。

  新妻は、何にも言わなかった。

  内心、「うっそー」と思ったそうだ。
  これは、あとからわかったことだ。


  物はいらない。

  体ひとつ。 自分の頭で考える。
  本もいらない。

  全部、捨てた。

 

 ●それから、しばらくして長男が生まれた。
  それでも、四畳半一間だった。寝るときは赤ん坊が
  布団で窒息するといけないので、台の上に小さなカゴをのせ、
  その中に寝かした。

  宮崎から母が来たとき、淡路から祖母が来たとき、
  私は押入れで寝た。


  最小限の生活。家の物は座っていても、みんな手が届く。
  とても便利だった。

  質素で美しかった。りんご箱に紙を張って収納箱にした。
  少し「本」を買った。


 ●二番目が生まれそうになった。
  もう赤ん坊の寝るところがなかった。二間のところに移った。
  赤ん坊のオシメもたくさん要った。おもちゃも買った。
  何にも買わないつもりでも、少しずつ「必需品」は増えた。


  我が家にはTVはなかった。TVは要らなかった。


  しかし、子供がよそのうちでTVを見て、帰ってこなくなった。
  TVを買った。


 ●「住宅公団・空家募集」に24回(年4回募集で、6年ずっとはずれた)
  はずれたので、公団から無抽選の空家斡旋が来た。

  3Kの公団アパートに移った。

  家は買うつもりはなかった。
  しかし、物価がどんどんあがり、家賃を毎月、一生払うより
  安いマンションを買うほうが得だ、と妻が言った。


  「借金はしない主義だ」と私は言ったたが、もうこのころは
  妻も、新妻のように黙ってはいなかった。


 ●2000万円くらい借金をして、35年のローンを組んで、
  いまの3LDKのマンションに来た。

  間取りが広くなる度に、物は増えた。


  余分なものは買わなかったが、買ったものは大切に使い、
  引越しでも全部もっていった。

  しかし「本」が増えた。
  「本」は引越しのとき、また生活を変えたいときに売り払った。
  それでも次第に増えた。


 ●我が家には、いまでも部屋を飾るような「小物」はあまりない。
  でも、よその家にないようなものが増えた。

  思い出がベタベタくっついた品々、記録、そんなものが増えた。

  ときどき、そんな物も思い切って何回か捨てた。


  しかし、いま周りを見渡すと、ごみの中でくらしている。


  よその家では、もっとすっきりしていると思う。



  私は「快適な生活」「シンプル・ライフ」に憧れているのではない。

  「簡単な生活」、つまり「簡単な人生」に憧れているのだ。
   そして、その結果がごみに埋もれて暮らしている。



 ●「四畳半一間」、これは夢である。
 
  妻は言う。

   「いいよ。いつだって。
    四畳半で暮らしたかったら
    どこかアパートかりたって。

    でも、ワタシは一緒に行かないからね。
    あんた一人で行ったらいいよ」



  「四畳半暮らし」、これは私の目指す生活である。
  いま居るところ、娘がかつて使っていた部屋を
  本や道具のない、何にもないガランとした「四畳半」に
  改めなければならない。



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