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2009年03月29日15:01

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●うみうし独語(313)/■耳を疑う

■耳を疑う

 ●3月29日(日) 晴れ 窓から高層マンションの上にぽっかりと白い雲が見える
                 風、つめたし

  起きると、妻がコタツで横になっている。

   「あれっ、もう起きたン。もっと寝ててもいいのに。
    起きたら、ご飯つくらなアカンし・・」

  首もまだ痛いし、もう一度寝床にもぐりこもうとしたら

   「寝るン? ウソやがな。冗談よ」

  と言って、妻は立ち上がり

   「あんた知ってる? ほら、中公園の桜、咲いてるでしょ。
    この角度から見るとわかるから・・。この間から、わたし
    観察しとったの」

  と、レースのカーテンをあけて居間のガラス越しに中公園の方を指差す。
  きのうベランダに出た時は気づかなかったが、たしかに枝先に六つ、七つ
  咲いている。


 ●日曜日は、新聞の「読書」欄を見るのだが、最近はあまり読まない。
  とりあげる「本」に面白いのがない。いや、私の関心が以前より希薄に
  なったのかも知れない。



  TVをつけ、関口宏の「サンデーモーニング」を見る。

  妻は寝そべって「数独」を始める。



  ニュース番組もいろいろあるが、各局の特徴みたいなものもある。
  土曜日のケーブルテレビ、朝日ニュースター「愛川欽也 パックイン・ジャーナル」
  地上波のニュースでは流さないような情報をとりあげる。

  それで、いくつかの「週間ニュース番組」を見る。

  関口宏の「サンデーモーニング」は、関口宏の人柄や出演者の選び方などで
  「温厚」かつ「良識的」なイメージを与えているように思う。

  まえは、このあと続けて田原総一朗の「サンデープロジェクト」を見ていた。
  しかし、島田紳助が司会をやめたころから見なくなった。
  紳助ファンだったからではなく、田原総一朗のアクの強さと政治的意見に
  どこか辟易としてきたからだ。



 ●TVを消し、首をいたわりながら、クッションを枕に横になる。
  コタツでこうやって横になると、すぐ眠れる。

  妻は、「じゃぁ、ご飯でも作るかネーッ!」と台所へ。
  新しいシャンソンの歌を大きな声で歌っている。

  「どうして先生って、わたしに売春婦の歌ばかり歌わせるのかねー。
   まぁ、ほかにこんな歌、歌える人いないし、わたしが歌うと受けるし、
   先生は面白がって歌わせてると思うけど・・」

  発表会では来た客が、妻が今度はどんな歌を歌うのか、それを楽しみに
  しているという。
  夏には、12曲か14曲かを歌う「リサイタル」を開くことになったらしい。



 ●きのう、晩ご飯を食べてるとき、妻が言った。

  「うちの店によく来るお客さんで、おばあさんなんだけどその人が
   わたしを見て、竹久夢二の絵に描いてある女の人によう似てるって
   言うンよ!
   わたし、耳を疑ごうたワ。どこがやネンッ、と思うたわ。

   ほんま、よう似とる、なぁ、って横に立ってた同僚の××ちゃんにも
   同意を求めるの。××ちゃんなんか、どう返事したらいいもんか困って
   横向いとったわ」



  月とスッポンほどにも似ていない。夢二の絵に出てくる女の人のイメージとは
  まるで対極にあるような妻である。ほんの少しでも彼女を知っていれば
  どこをどう間違っても竹久夢二の絵は浮かんでこないだろう。


  同意を求められた××ちゃんも、ほんとうに困惑しただろう。
  二人して、大笑いした。


  
 ●「ああ、いそがしいー、ああ、いそがしいー。たいへんだー、たいへんだー」
  「あんた、わかっておらんやろ。わたしが忙しいのを・・」


  「ほれっ、ちゃんとたべるんやでー。食べんかったら、どうなるか
   知っとるやろ。ペンペンではすまへんで。もう作ったらんわ」

  コタツの上のテーブルに、ちくわとレンコンを煮付けて胡麻をふったものと、
  一口大の南京のコロッケとグリーンアスパラの茹でたのと、アジの開きの
  焼き物と、白菜の漬物を置いていく。

  「青いものも食べなアカンでー」





  「ああ、それから蒲団干してあるから忘れんといてネー」



 ●妻は、きょうもあわただしく出ていく。


  私はコタツのテーブルの上へ、紙に「ふとん」と書いて置く。



  妻は、竹久夢二の話では、

  「まぁ、しいて言えば色の白いところが、似てなくもないかナー」

  と、まんざらでもなさそうな一言も漏らしていた。




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