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2009年01月26日18:38

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美術手帖1月号『松井冬子をつくった13冊』

美術手帖’09年1月号の特集を読みました。

いつからか知りませんが、「○○(アーティスト名が入る)をつくった10冊」という連載(?)企画があり、興味を持ちました。
若手のアーティストをピックアップし、彼等がどんな本に影響を受けて育ったか、今に到ったかを理解しようとするのが、この企画のテーマです。
この号では、やなぎみわ、と、津田直も取り上げられています。
ちなみに、表紙の男装の麗人は、松井冬子です。言われなければ判りません。(写真参)

冬子は10冊でなく13冊を持って来ています。
如何に列記します。

・ゴットホールト・E・レッシング『ラオコオン〜絵画と文学の限界について』岩波文庫
・谷川渥『美学の逆説』ちくま学芸文庫
・上野千鶴子『発情装置〜エロスのシナリオ』筑摩書房
・ダイモン・スクリーチ『江戸の身体を開く』作品社
・ルドルフ・ウィトコワー『ベルニーニ』PHAIDON
・速水御舟『絵画の真生命』中央公論美術出版
・佐藤道信『美術のアイデンティティー〜誰のために、何のために』吉川弘文館
・ジョエル=ピーター・ウィトキン『The Bone House』Twin Palms出版
・ ? 『ドイツの医学書』 ? (古書)
・成山明光編集『Dr.Ikkaku Ochi Collection』Scalo出版
・上野千鶴子編集『脱アイデンティティ』勁草書房
・ジュリア・クリステヴァ『恐怖の権力〜アプジェクション試論』法政大学出版局
・バーバラ・M・スタフォード『グッドルッキング〜イメージ新世界へ』産業図書

私が既読のものは1冊もありませんが、美術手帖には僅かながら内容紹介が載っています。そういえば、谷川渥は1冊『鏡と皮膚』を読んでいます。ベルニーニと速水御舟は、私と興味の向くところに共通もあるようで、ふむふむとつい肯きます。とは言っても、ここでベルニーニと速水御舟の共通点を挙げるのは、困難の極みです。
冬子本人への、何故その本を選んだかのインタビューが掲載されていますから、何となくは内容に想像がつく気はします。
ここで知って、触発されて、ではこれを読んでみよう、という人もいるでしょう。それも面白い。

日本画の本が少ない理由を訊かれて、冬子はこう答えています。
「日本画は、完全に技術として割り切っているところがありますので、作品の考え方に関しては、日本画とはほとんど別のところから持ってきています。」

こういう場では、手の内を明かさないか、またポーズからか、例えばフィクション作品等をピックアップする人もいようかと思われますが、松井は案外真っ正直な人だな、と思いました。
彼女の絵と、上の書籍達は、かなり直線で結ばれているような気がしました。


それはそうと、芸術新潮の今年1月号の運慶特集は圧倒されます。
これだけまとまって各地に散らばった運慶作品を紹介されたのは初めてでしょう。
写真も素晴らしいが、それぞれの像の表情、造形の革新性が本当に素晴らしい。
我が静岡県でも、運慶を有する寺が1つあるのを初めて知りました。
願成就院。伊豆の国市にあるようで、これは必ず行ってみなくてはならない、と思いました。
また、浜松から近い、愛知県の岡崎市にも、1寺あるようです。
瀧山寺(滝山寺)。岡崎は、先日庄司紗矢香のリサイタルで行ったばかりです。知っていたなら、寄っていたのに。
この芸術新潮の企画については、別にまた感想を書く機会があると思います。
 
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