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2017年07月17日01:00

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ミュージカル「グレート・ギャツビー」

この間、梅田芸術劇場で上演されている、ミュージカル「グレート・ギャツビー」をサンケイリビングカルチャー講座で見に行ってきました。宝塚のSNSに先に書いていたんですが、こちらにもちょっと手直しして書いておきます。

まず開演前に梅田芸術劇場が入っているホテル阪急インターナショナル内のお店で軽食、そして「グレート・ギャツビー」講座。終演後はバックステージツアーが行われるのです。

講座の講師は林和清先生。サンケイリビングでは源氏物語や百人一首などの講座などを持っているということで、なんで「グレート・ギャツビー」?と思ったら。
中学生の時に「華麗なるギャツビー」を読んで感動したということです。中学生には難しくて、コツコツ少しずつ読んで、最後は泣いた、と。その時の文庫本、ロバート・レッドフォードの映画の写真が表紙になったものを持参して見せてくれました。なので思い入れが強いらしい。

レジュメもあります。
フィッツジェラルドについて。当時の世相を表すキーワード、「ジャズ・エイジ」(フィッツジェラルドの作品のタイトルから来たそうです)、フラッパー、ロスト・エイジ、禁酒法。
行く前は、この時代についてもフィッツジェラルドについてもある程度知っているのでそれほど期待していなかったのですが、この先生、お話しぶりがおもしろい。思い入れたっぷりに、わかりやすく、楽しく語ってくれてつい引き込まれてしまいました。そして村上春樹訳の紹介。さらに、実際に舞台を見ているので見どころの紹介。

こういった話を聞いて舞台を見たので、「なるほど」と思うところがありました。
今、日本の舞台でギャツビーをやるなら井上芳雄くんなのでしょうね。ことさらカッコつけるような役ではありませんが舞台姿が端正で、朗々としたいい声。デイジーを愛するまっすぐな気持ちが伝わってきました。

配役も皆適役でよかったです。
デイジーの夢咲ねねは華やかできれいでした。結局は自分の属する世界から逃れられないお嬢様。
講座でデイジーはフィッツジェラルドの妻のゼルダがモデルだったと言われていると聞きました。ゼルダはまさしくフラッパー、ジャズ・エイジの1920年代の申し子。夜ごと社交界で奔放な生活を続けるゼルダを養うためにフィッツジェラルドはお金になる文章を書きまくるしかありませんでした。そんな社交界のぜいたくな生活をやめられないゼルダがデイジーに重なっているとなると、デイジーの人物像もなるほどと思えます。ギャツビーも自分にふさわしくない高嶺の花に恋をして身を滅ぼしたのですねえ。

デイジーの夫、トム・ブキャナンは広瀬友祐。尊大で自分中心で鼻持ちならない男をみごとに表現してくれました。
マートルの蒼乃夕妃も良かったです。さえない夫にウンザリして、華やかな世界にあこがれ…。
デイジーのお母さんで渚あきが出ていました。
ジョーダン・ベイカー、AKANE LUV。当時の最先端の女性のスマートでドライな雰囲気をよく出していました。
語り役のニックは田代万里生。まじめで誠実な青年でした。

そして何より作品がいい。私は宝塚で杜けあきの初演を見ましたが、その時は2本立ての前ものだったので、その時よりは内容がふくらんでいます。もっとも、瀬奈じゅんで日生劇場公演で再演されていますので、その時にすでにふくらませたのでしょうけれど、そちらは見てませんので。

ラストシーンが特に良かったです。ギャツビーは突堤にたたずんで向こう岸のデイジーの家を永遠に見続けているのかも…と思わせる切ないシーンでした。

さて、杜けあきのギャツビーはあまりにもはまりすぎていたので、今回の舞台は見てみたいけど比べてしまったらどうしようという懸念もありました。でもあまり比べなくてすみました。本当に別物として見られました。音楽が全く違うというのもありますね。「朝日が昇る前に」なんて歌われたら絶対杜けあきの声が浮かんでくる…。しかもブロードウェイの別の作曲家に依頼したというので、「朝日が昇る前に」完全にカットされて、ギャツビーは全く違う歌を歌っていました。

デイジーも、鮎ゆうきはそれはそれはきれいな娘役で、デイジーもすばらしい美人でした。しかしもともと演技力が乏しくどう見ても「きれいなおばかさん」すぎるやろ、と思うぐらいだったので、まだ夢咲ねねのほうがデイジー像をきちんと作って見せてくれましたね。

鮎ゆうきはこの公演で退団しました。そのあと杜けあきの相手役になったのは紫ともです。東京公演で鮎ゆうきが退団した後、全く同じ演目で中日劇場があって、それが新トップコンビのお披露目になりました。
紫ともはもとは雪組でしたが、鮎ゆうきにはじきだされるように月組に組替えになりました。その間に演技力をつけ、情感を持ったいい娘役になっていきました。しかし月組でも麻乃佳代に追い越されてしまいました。そこへ杜けあきの相手役として雪組に戻ってくるという逆転勝ちみたいな人事です。私はちょうど紫ともが月組に来たのが剣幸トップのの時代で、私は剣さんファンだったこともあって、紫ともがいい娘役になっていくのを見ていました。なのでやっとトップ娘役になれる日が来たと思うとうれしくて、中日劇場まで見に行きました。

そうしたら…
鮎ゆうきのデイジーはふっとんでしまいました。
紫とものデイジーは「きれいなおばかさん」になりきれない悲しさを秘めていました。ギャツビーを愛しているのにどうしようもない運命に翻弄され…。
ギャツビーのお墓に花を手向けに来るのは、原作にはない小池先生の創作ですが、紫とものデイジーにはそんなデイジーの悲しみがにじんでいるようでした。

夢咲ねねのデイジーにはそういった哀愁はありませんでしたが、まあ原作に沿えばデイジーはもともと「そういう女」だったのです。鮎ゆうきは演技力が足りなくて単に何も考えてないだけにしか見えませんでしたが、夢咲ねねは、しょせんお金持ちの世界から抜け出せない女として人物造形できていました。この後デイジーは自分の世界で何事もなかったように生きていくのね。

長くなりましたので、バックステージツアーのレポートはまた…。

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