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2016年01月06日01:50

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映画「キングダム・オブ・ヘブン」ディレクターズカット版

今までWOWOWなどで見る機会があったのになんとなく見逃していて、やっと見ることができました。こんな重厚な歴史ものだったなんて知らなかった…。だって、鍛冶屋の青年が十字軍に参加して…とかいう解説を見てもっと軽いフィクションかと思ってしまって…それにこのファンタジーのようなカタカナタイトル。作品を誤解していたらしいです。

さて、その鍛冶屋ですが、実は領主の弟の落とし胤だったのです。イベリン卿といって、聖地にいたのが故郷のフランスの村に戻ってきて、今まで一度も会ったことのない息子・バリアンに会いに行くのです。バリアンの方は妻と子供を亡くして失意のどん底。今さら親父が現れたって「それがどうした」です。聖地に戻るので一緒に行こうと誘いますが乗りません。しかし突発事態が起こってやむなくついて行くことに。
そうしたら、到着前に父親は死んでしまいます。そしてイベリン卿を継ぐことになり、エルサレムに到着します。

この時、エルサレム王国はボードワン4世の時代です。そしてイスラム軍を率いるのはサラディン。しかし、ボードワン4世は理性的で、サラディンとむやみに戦うよりも友好的に付き合っていこうとしています。
それを認めないのがギー・ド・ルジニャンといった騎士たち。ギー・ド・ルジニャンってテンプル騎士団の本に出てきた覚えがあるな。ロクでもないヤツだったのでは…。
で、結局「異教徒を倒せ!」と叫ぶ過激な騎士たちの方が、実はイスラム教徒よりも厄介なんですね。敵よりも「敵を倒せ!」と無謀な戦いを挑む同胞の方が味方を破滅に導く…というのはどこかの国でもありましたが。

ボードワン4世は若くして病死します。その後、ボードワン4世の妹の夫になったギー・ド・ルジニャンが王位を継ぎます。そして異教徒に無謀な戦いを挑み、サラディンの捕虜になってしまいます。
テンプル騎士団の本に書いてあった所では、この時テンプル騎士団の総長だったジェラール・ド・リドフォールも一緒になって異教徒に戦いを挑むことをたきつけたそうですが、映画には出て来ず。これ以上登場人物を増やしたら面倒だし時間が長くなったら困るからか…。

サラディンの目標はエルサレムの奪回です。
結局、バリアンがエルサレムの防御を担うことになり、攻めてくるサラディン軍との戦いの中心人物となります。

この映画の見どころは、十字軍対異教徒、という単純な図式では捕えていない所です。「異教徒を倒せ!」「我々には神がついている!」叫ぶ味方の方が厄介な存在で、サラディンとボードワン4世の方がずっと話が通じ合います。サラディンは高潔な人物として描かれています。

見たあと調べたんですが、バリアン・イベリン卿は実在の人物でした。父親の設定とか、いろいろフィクションは入っているようですが。そのほか登場人物はほとんど実在の人物です。
そして時代考証も緻密です。イスラム軍にはサラディンを筆頭に中東系の俳優が起用されているそうです。しかも、サラディンが三日月刀をスラリと抜いたらカッコいいだろう、と想定していたのが、考証の結果当時は三日月刀が使われていなかったことが判明し、取りやめになったとか。
エルサレムの城壁とか、攻城戦の様子とか、セットも素晴らしいです。エルサレム攻防戦を目の当たりにしているような気分になります。

さらに音楽が「BGM」というより、中世の音楽が使われています。…中世の音楽を再現したオリジナルものらしいんですが、いかにも中世らしい雰囲気が漂います。戦いを盛り上げるようなハリウッド・スペクタクル風の壮大なオーケストラは使いません。あくまでも中世らしい楽器やコーラスです。さらにアラブ風の音楽も出てきます。
本気でこの時代をスクリーンに再現しようという意気込みが感じられました。

バリアンを演じたのはオーランド・ブルーム。
そのほかリーアム・ニーソンやジェレミー・アイアンズという渋い所をそろえています。

中世ヨーロッパが好きならもっと早くに見ておくべきでした。
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