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2025年01月29日01:11

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大シルクロード展(2)

トルファンにはアスターナ古墳群があります。漢人が建てた高昌王国時代の墓がいくつもあるのです。何しろ乾燥している地域なもので、タイムカプセルのように当時のことがわかるような出土品が、作られたときのままのような状態でたくさん出ています。今回出ている屛風絵は見覚えがあるー。
ミニチュアの副葬品が面白かったです。木で作られた碁盤や楽器、うちわ、壷。みんな小さい。楽器は弦はなく墨で線が引いてあります。
紙の文書だってよく残っています。ソグド商人の通行証があり、通行証の発給に関する調書もあり、当時の商人がどのように通行証を持っていたかもわかります。
模様を織り出した経錦はいかにもシルクロードを渡ってきた文様ですし、獅子狩文の絹布には馬上の人物が振り返りざまに矢を放つ「パルティアン・ショット」の図が織り出されています。

近年ではシルクロードの一部としてチベットが注目されています。青海省から出た出土品のコーナーがあります。
青銅の漢式鏡。
瓦当には楽器を吹く羽人の文様。
胡桃も出ています。イラン原産のものが入ってきたのです。
太陽神を描いた錦もあります。馬車に乗るヘリオスです。ヘリオスと言えば、バーミアンの壁画に描かれたものと意匠が似ています。
人物を打ち出した飾り板には吐蕃の服装をしているのが認められます。

次は、長安や洛陽から出たものを中心とする唐代の作品から東西交渉の様子がうかがえるもの。
…と言いながらずらーっと並んで目を引くのは漢代の車馬儀仗隊。甘粛省の武威から見つかったものです。汗血馬を思わせる精悍な馬に乗った兵士たち。傘を付けた馬車に乗る指揮官。これらが並ぶさまは壮観です。
敦煌近郊からは塼がいろいろ。ラクダを引く故人の図柄や龍と鳳凰の図柄があり、西域と中国のものが混在している様子がうかがえます。
唐代の白銅の鏡、銀の杯。

西安で発掘されたソグド人の墓から見つかった墓石堂はかなりの大きさです。複製品ですが。注目ポイントはソグド語の銘文が刻まれていること。ソグドの儀式や死後の世界の様子が刻まれていることです。

そして唐三彩がいろいろ。
ふっくらした顔の唐美人。
リュトンを思わせる鳳首杯。
ペルシアの水差しとよく似た鳳首瓶。
こうした杯や水瓶は副葬品として作られたもので、実用品ではありません。おそらく被葬者が生前使っていたものを模していて、実際は金属器だったものを焼き物で再現したのです。金とか銀とかの器を埋めてしまうのはもったいないですからね。
胡人の姿もあります。彫りの深い顔に襟を折った衣装。
ラクダもあります。

六花形脚付杯は、金製で小さな杯ですが、表面を見てビックリです。ものすごく細かい!!小さいので何を描いているのかわかりにくいのですが、馬に乗った人物をいくつか配して、背景にはびっしり魚々子模様が刻まれています。杯の底には双魚文。足つきの器形はシルクロード経由の意匠で、西域文化が盛んだった唐代の繁栄を思わせます。

次は仏教東漸の道がテーマです。
近年トルファンのベゼクリク千仏洞から発見された仏典も展示されています。
敦煌から見つかった正法華経は、3世紀に竺法護が訳したものです。その後鳩摩羅什が訳したのでそちらが普及しましたが、竺法護のものが見つかるのは貴重です。竺法護が「光世音」と訳した言葉を鳩摩羅什は「観世音」と訳しました。
妙法蓮華経が多いのは、この展覧会のもともとの主催が東京富士美術館つまり池田大作が建てたものだからか。

そうしたら私の目を釘付けにするものが。
ダンダンウイリクの壁画です!
力強い線描の端正な如来の絵…すばらしい。丸顔で目鼻がつまった感じが西域っぽいです。
千仏と騎馬隊の行列は見たことがあります。ぶち柄の馬。上部の仏像も西域風。
そしてトルファンの交河故城から出た小さな供養者像の断片。頭に白い布を巻いて正面に飾りを付けた女性の首のあたりまで。

それから敦煌特集。
模写ばかりですが、敦煌の有名な壁画がいっぱいです。まあ、壁画は持ってこられませんからねえ。でも模写の精度は高いです。
第257窟の鹿王本生。
第254窟のシビ王本生。
第57窟の阿弥陀三尊だー!阿弥陀如来の左側の観音菩薩は敦煌で一番美しい菩薩の絵だー!敦煌で実物を見た時の感動は忘れられません。
張騫出使西域図もあるー。
阿弥陀浄土変の踊る天人と楽器を奏でる天人。踊る姿も、楽器のひとつひとつもとても細かいです。
反弾琵琶図もあります。楽器もよく描きこまれていて、いくらでも見ていられます。

仏像も並んでいます。
北魏仏に北周、隋、唐。
唐代の菩薩のなよやかな姿態、華麗な瓔珞。
こうした仏像を見ると、日本の初期の仏像を理解するには中国の仏像との比較が必要なんじゃないかと思います。

これで展示は終了です。
こういう展覧会ですから、どんなに高くてもゴツくても、図録は買う。実際ハードカバーでかなりゴツい(写真)。そうしたら、最近の展覧会は、図録とオリジナルバッグがセットで「バラバラに買うよりお得」という商法がはやっていますが、そのバッグが「敦煌で一番美しい菩薩」だったものですから(写真)、ついセット買いをしてしまいました。表紙の金杯(六花形脚付杯)はかなり大きな写真ですが、実物は高さ5.4cmです。
そうして1週間ほど持ち歩いて、昼休みや電車の中でじっくり読みました。
鳩摩羅什の生涯が詳しく書いてあったのが興味深かったです。
クシャーン朝の仏教遺跡の発掘事情が書いてあったのですが、主にウズベキスタンあたりのことなので、今回中国からの出品ばかりなので、出品作とのつながりが少々弱かったのでは…と思いました。カラテパ遺跡の写真などが出てきて「わーい♪」とは思ったのですが。

それと、最後に1ページでどーんと常書鴻の銅像の写真が載っているんですが、誰なのか説明をするべきだと思う。今回展示されてる敦煌の模写で鹿王本生は常書鴻の模写なんですよー。常書鴻(1904-1994)は敦煌で半世紀にわたって敦煌の研究と保護に務めた人です。もともと画家なので敦煌壁画の模写も多く残しました。最終的に敦煌研究院の名誉院長になりました。

図録の入ったバッグを抱えてすっかりウットリウキウキ気分で会場を出ますと、出口にはラクダがいました。

あー、やっと書けた…。今月はとにかく仕事が忙しくてなかなか書けなくて、やっと書けたと思ったらもう展覧会は今度の日曜までなのでした。
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