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2023年05月13日23:36

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「マルコ・ポーロ」という本を見つけたので読んでみた

「マルコ・ポーロ 東西世界を結んだ歴史の証人」
佐口透:著
清水書院

「マルコ・ポーロ」をキーワードにネットをあれこれ探してしまう…。
そうしたらこの本を見つけました。2017年発行なので新しい本かと思ったら。
「はしがき」の日付が1976年でした。
本のどこにも再刊とかなんとか書いていない。
でもマルコ・ポーロのことを知るにはいい本でした。「東方見聞録」の内容も主要な部分をピックアップして解説してあり、本体を読むのはちょっとハードルが高い…と思う人にはちょうどいい内容になっています。もちろん読んだことのある人にもより理解が深まります。

まずモンゴル帝国成立からマルコ・ポーロの時代の歴史。
そして、さらにこの時代は十字軍の後期であったこと。というふうに、世界の動きが解説してあります。
特にその少し前に悪名高き第4回十字軍があり、ベネチア商人が資金を提供したのをいいことに、コンスタンチノープルを占領してラテン帝国を建ててしまいました。ニコロとマテオがコンスタンチノープルに向かったのは、ベネチアの勢力圏だったからだろうということです。

著者はポーロ一家がどうやら普通の商売をしている商人だというだけではこの大旅行を実行した根拠に乏しい、と考え、何か別の目的があったのではないかと推測しています。
もしや教皇庁あたりから東方の情勢をさぐるように密命を帯びていたのではないかと。
このころモンゴルの襲撃に悩まされていたヨーロッパには、東方にキリスト教徒の英雄がいる、という伝説が広まっていました。そのキリスト教徒を探り当てて連携をとること、さらにモンゴル人をキリスト教に改宗させること。そういった使命を与えられていたのではないだろうかと。

ローマ・カトリックで異端とされたネストリウス派が東へ渡って唐の時代には「大秦景教」と呼ばれました。モンゴル帝国の時代にも、ネストリウス派はかなりあちこちで細々と信仰を保っていたのは確かなようです。「東方見聞録」ではキリスト教徒がいると必ず記載してあります。それはマルコがヨーロッパ人だからというだけではなく、信者を探す命を受けていたからではなかろうか。

また、ポーロ一家は元に17年滞在していましたが、商人として商売を行っていた形跡に乏しい。フビライが各地の情勢を調べてくるように命じたので、そちらが主要な仕事だったのではなかろうか。
…うーん。「東方見聞録」には、各地の特産、名産品が必ず記述してあるので、商売のために記録していたんだと思ったんですが。

それと、モンゴル・中国側の文献にポーロ一家を思わせるような人物が見当たらないことは以前から指摘されていました。
フビライはマルコのことが気に入っており、なかなか帰国を認めなかった、しかし丁度コカチン姫をイル・カン国に送り届けることになったので、その役目をおおせつかったため出国を許しました。その際再び教皇庁あての親書を託されます。
しかし教皇庁にはそういった親書らしいものが残っていません。

つまりマルコ・ポーロの存在を客観的に記したものはほとんど存在しないのです。
「東方見聞録」という前代未聞の書物だけを残して、歴史の中に姿を見せないのです。

「マルコ・ポーロの冒険」では、マルコはイル・カン国のガザンからフビライが亡くなったことを知らされ、親書はひとまず自分に預けてほしいと言われます。フビライが亡くなったことを知って、その親書が無用のものになったと思ったので、教皇庁に届けられなかったのでしょうか。

マルコが出発した時に選ばれた教皇は、帰国した時はすでに亡くなっていました。新しい教皇はポーロ一家のことを何も聞いておらず、その使命を理解せずとりあわなかった…のかもしれない。ということも書いてあります。

この本にはマルコの後半生の不遇さが書いてあります。私もおおむねそういうものだと思っていました。
しかし、先日「マルコ・ポーロの冒険」が放送されたときにゲストに来た歴史の先生が、「ミリオネア」つまり百万長者と言っていました。これまでたいていの説明では「百万のマルコ」のあだ名は「ほら吹き」の意味だと説明されています。しかし「ミリオネア」といえば確かにお金持ちの意味です。実はベネチアでも商売に成功していた、と考えられないでしょうか。ポーロ一家は奢侈品を扱う商人だったようです。とすれば利益も大きかったのではないかと思います。
この本では商売に成功して利益を得た形跡がないとも書いてありますが、現在Wikipediaなど見ますと「豪商だった」「広大な屋敷」などと書いてあります。いつのまにか研究が進んで変わってしまったんですかね。

ともかく、マルコがベネチアに帰ってから不遇な人生ではなく豪商として成功していたのならそれはうれしいことです。
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