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2022年02月14日01:25

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スティーヴン・ソンドハイムについて

昨年11月26日にスティーヴン・ソンドハイムが亡くなりました。91歳。
長らくブロードウェイの重鎮でありました。

ソンドハイムといえばまず1957年のブロードウェイ・ミュージカル「ウエストサイド物語」の作詞です。
アーサー・ローレンツ脚本、レナード・バーンスタイン作曲、ジェローム・ロビンス振付、ソンドハイム作詞。

物語と歌とダンスが密接に結びついた最高水準のミュージカルです。稀有な才能が出会った奇跡です。

その後ソンドハイムは作詞・作曲を手掛けるようになり、ブロードウェイで次々と作品を発表していきます。

「ローマで起こった奇妙な出来事」
「太平洋序曲」
「カンパニー」
「リトル・ナイト・ミュージック」
「スウィーニー・トッド」
「日曜日公園でジョージと(日本上演時のタイトルは「ジョージの恋人」)」
「森の中へ(イントゥ・ザ・ウッズ)」
「パッション」
「メリリー・ウィー・ロール・アロング」
など。

どちらかといえば技巧を凝らした難解な詞と曲で、「親しみやすい」タイプではありません。しかしレベルの高い舞台を作り上げ、ブロードウェイでの名声はゆるぎないものでした。

作品を書きだしてみますと、結構見てますね。
「リトル・ナイト・ミュージック」は麻美れいが出てました。
「カンパニー」は鳳蘭と山口祐一郎。
「スウィーニー・トッド」は映画も見ましたが、市村正親と大竹しのぶの舞台版の方がずっと面白かった。

「太平洋序曲」は宮本亜門が日本版を演出して上演し、ブロードウェイ上演を実現させました。私はこれが見たさに東京まで行きました。

「日曜日公園でジョージと」「森の中へ」はバーナデット・ピータースが出演しているブロードウェイ版をBSの放送で見ました。

「ウエストサイド物語」は1961年に映画化されましたが、ソンドハイムはこれを気に入ってなかったそうです。
「ウエストサイド物語」といえば、日本人である年代でミュージカルを志した人はほとんどが公開時にこれを見たといっているぐらいの作品です。

私は中学生の時に二本立てのリバイバルで見て「これがミュージカルというものか!」といたく感銘を受けました。のちに大学の時にまた映画館の二本立てにかかったので見に行きました。やはり本当に感動しました。
少しでもミュージカルに関心のある人なら、このすばらしいミュージカルに感動しない訳がありません。

…と、思っていました。

舞台版を見るまでは。

私が最初に舞台版を見たのは劇団四季でした。
男性俳優、とくにベルナルドが全然カッコよくなくて、あまりいい印象が残りませんでした。
次に見たのはアメリカからの来日公演です。これを見て、どうやら映画と舞台はかなり違っているらしいということを認識しました。

そうしたら、初演の舞台のオリジナルキャストによるレコードが復刻されたCDが発売になると聞き、いち早く買いに行きました。すべての歌詞が原語と対訳付きで載っていました。それで歌の内容を把握しました。

そうして宝塚でも再演が行われました。
月組で真琴つばさ、星組で稔幸。

星組を見た時、トゥナイトの場面でトニーがマリアの所に駆け上がっていくのを見て「ロミオだ!」と思いました。マリアに夢中になって駆け上がっていく姿が。
そこでようやくこの物語が「ロミオとジュリエット」だということを実感することができたのです。

そうして、次第に映画がこの作品の印象をゆがめていることに気が付きました。

まず映画を見たら、ベルナルドのジョージ・チャキリスのカッコよさが強く印象に残ります。
でもトニーとマリアが「ロミオとジュリエット」だという実感は薄いです。理屈ではわかるんですが。仮面舞踏会は体育館でのダンスパーティーに、バルコニーが非常階段になったのだな、とか。

それに舞台では「アメリカ」にはベルナルドは出ていないのに映画では出ているし、歌詞も変えられました。「アイ・フィール・プリティ」も「クール」も「クラプキ巡査」も使う場面が変えられています。そしてバレエ・シークエンスの場面がばっさりカットされています。
そもそもプエルトリコ人のはずのベルナルドがあんなにカッコよくて目立つというのはおかしい。

これだけ舞台と変えられていたら、ソンドハイムが気に入らないのも無理はありません。

そうしたら、あんなに感動した映画も見たくなくなりました。もう舞台版しか見られません。上演されるのを待つしかありません。来日公演は時々ありまして、私は4回見ています。

そこで、映画のリメイクをしてくれないかな…と思うようになりました。

バーンスタインもジェローム・ロビンスも早くに亡くなりました。ソンドハイムだけが生き延びてブロードウェイで活躍しています。ソンドハイムが元気なうちに、ソンドハイムも納得するような映画ができないものか。

1950〜60年代はハリウッドの黄金期で、ブロードウェイでヒットしたミュージカルは片っ端から映画化されました。でも内容が変えられていることが多く、あんまり元の舞台が尊重されていない気がします。映画が「娯楽の王様」だった時代の傲慢さが感じられるというか…。「ウエストサイド物語」もそうですが、それ以外にもいろいろ…。

やがてミュージカルの舞台の映画化は下火になりましたが、21世紀になると新たに舞台版を踏まえた上での映画化が行われるようになっていきます。「シカゴ」とか「オペラ座の怪人」とか。
なので「ウエストサイド物語」もそうならないかなと思いました。

そうしたら、ついに映画のリメイクが行われたのです。
ソンドハイムが納得するような。

めでたい。
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