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2022年01月11日01:35

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「SLAPSTICKS」

サンケイホール・ブリーゼで上演されたお芝居です。ケラリーノ・サンドロヴィッチ・作。
何度目かの再演で、私が見るのは2回目です。

スラップスティックとはドタバタ喜劇のことで、サイレント時代の喜劇映画の製作現場が舞台になっています。当時ドタバタ喜劇をさかんに作っていたキーストン社で、そこで主要な監督やプロデューサーや出演までしていたマック・セネットの映画作りの現場です。

私はサイレント時代の映画が好きで、上映会を見に行ったりDVDを持っていたりします。特にこの時代のドタバタ喜劇は、現代ではありえないぐらいバイオレンスです。みんな体を張って、命がけで、笑いを取るためにとんでもないことをやらかします。

そのマック・セネットの映画でも特に当時大人気だったのが「ファッティ(でぶちゃん)」ことロスコー・アーバックル。私が1回目にこの舞台を見た時は、サイレント映画が好きと言っても上映会を探すか、BSなどで放送されるのを待つか、でマック・セネットの映画は見たことがありませんでした。特にロスコー・アーバックルのことは、この舞台を見るまで知りませんでした。

舞台ではロスコー・アーバックルのスキャンダルが描かれます。
1921年9月5日、それは「笑いの泊まった日」と言われます。
ロスコーは滞在中のホテルでパーティーを開催しますが、そこにいたヴァージニア・ラップという女優が暴行され、病院に運ばれて4日後に死亡しました。禁酒法時代に酒を供していたこともあり、事件はスキャンダラスに取り上げられました。そしてロスコーが暴行の犯人とされて逮捕されました。

マスコミではロスコーを犯人と決めつけて、タブロイド紙などは中傷だらけで面白おかしく書きたて、ラジオもロスコーに不利な証言を流します。国民はロスコーの映画の排斥運動を行います。ネットがない時代にも「悪者」をマスコミや国民が叩きまくって追い詰める、ということは起きていたんですね。

証拠不十分でもあり、裁判では無罪になります。しかしもう誰もロスコーの映画を見に来ることはありません。

この舞台は、それから数十年後に当時助監督をしていたビリー(小西遼生、若い時は木村達成)が、ロスコー・アーバックル(金田哲)の映画のリバイバル上映をしようとして映画の配給会社を探す、という枠組みで作られています。若い配給主のデニー(元木聖也)はサイレント時代の映画に興味を持たないのですが、ビリーが当時の話をして説得しながら、回想で当時の様子が描かれます。観客はデニーと一緒に当時のことを聞きながら、少しずつその時の事情を知っていく、ということになります。

最後の方は、登場人物皆が出てきて、どれだけ笑いを取るために自分を犠牲にできるか、まるで怨念のようにせまってきます。
今の私は実際に当時のドタバタ映画を見ているので、それがどれだけ真実か、がわかります。舞台でも随時当時の映像が映りますので、ある程度はわかるんですが。

マック・セネット(マギー)は女優のメイベル・ノーマンド(壮一帆)と恋人同士でしたが、他社に引き抜かれてしまいました。メイベルも美人なのにスラップスティック。ただものではない雰囲気です。

ビリーの昔の恋人で映画のピアニストのアリスに桜井玲香。
ヴァージニア・ラップに黒沢ともよ。

実は、ケラリーノ・サンドロヴィッチは大のサイレント・コメディ好き。私的に喜劇映画研究会を設立し、初代会長になりました。今は会長職は引退しています。喜劇映画研究会は喜劇映画の保存・普及に努めています。それで、私は喜劇映画研究会が発行した「サイレント・コメディ全史」という本を持っています。
喜劇映画研究会は今も活動しています。HPもあります。久しぶりにのぞいたら、マック・セネットの本を出していました。

以前サイレント・コメディの上映会に行った時の日記です。作品の雰囲気が伝わるかと。
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1957981249&owner_id=1362523

この舞台を見たら、こういう人たちが作っていたのかー、と納得させられました。
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