「赤いモレスキンの女」
アントワーヌ・ローラン:著
吉田洋之:訳
新潮社
「ミッテランの帽子」の作者の本です。本当はこちらが新聞で広告が出てたのですが、検索したら同じ作者で両方ヒットしたので両方買いました。そして律儀に出版順に読みました。
こちらは2014年発行で、時代設定が特にないのでリアルタイムとみていいでしょう。前作と違ってインターネットの時代でメールやSNSが出てきます。
ある女性が夜遅く帰宅し、バッグからアパルトマンの鍵を取り出そうとしたときにひったくりに遭います。抵抗して振りほどかれ、鉄扉で頭を打ち付けてしまう。
翌朝、書店主のローランは、出勤途中でゴミ箱の上に女性のバッグが置いてあるのを発見します。どう見てもゴミとして捨てられたとは思えません。ゴミ収集車が来たら持ち去られてしまう…と思い、そのバッグを警察に持って行くことにします。
ところが警察は混んでいて時間がかかるという。しかし書店を開けなくてはいけないから待っているわけにいかない…ので、後でまた来ることにしてバッグを持ち帰りました。
結局ローランはバッグを家に持って帰ります。そうして好奇心に駆られて中を見てしまいます。財布や携帯など貴重品は一切ありません。なので盗まれて、貴重品だけ抜かれて捨てられたんだろうということは想像がつきます。持ち主の手掛かりになるようなもの、名前や住所の手掛かりは何もありません。その中に赤いモレスキン革の手帳を見つけます。
その中には、詩なのか独り言なのかわからない文章がつづられていました。
それを読んだローランはその内容に惹かれ、これを書いた女性はどんな人だろうとあれこれ思い描くようになります。
パリの書店主の日常を描きながら、バッグの持ち主を探す過程はハラハラドキドキします。やがて意外なところから名前がわかり、手掛かりが見つかり…。
帯に「大人のためのおとぎ話」とあり、素敵なラストに向かって行くところは確かにおとぎ話のようでもあり、しかしリアルなパリの生活をも感じさせ、満足な気持ちになります。
この人の著作、もっと訳してくれないかな。さすがにまだフランス語で原書は読めない。
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