朝日カルチャーセンターで、森安孝夫先生のシルクロードの講座があるという。
このカルチャーセンターは面白そうな講座があっても、週一回平日の昼間で何週か連続の講座が多いので、ほぼ申し込むことはできません。この講座も10月から全6回の講座があるのですが、その前に概要を一回講座で開いたもの。一回だけならなんとか休めそうだったので行ってきました。
森安孝夫先生は、講談社の「興亡の世界史」シリーズで「シルクロードと唐帝国」を書いた先生です。ソグド人の動きに注目し、それまであまり知られていなかった活躍を紹介したものです。
今回は1回だけ、一般人相手の講座なのでそれほど目新しいものはないのですが、面白いのは、シルクロードは道、線ではなくて平面に広がるネットワークだったということです。砂漠のオアシス都市などは、そのネットワークをつなぐジャンクションだったということです。そして資料として配られた地図が見やすくてわかりやすい。
森安先生はこのほど新刊を出版しました。
講談社選書メチエから「シルクロード世界史」です。それを知って購入し、読みかけていたところでもありました。
その本の中でも、世界史の時代区分を提唱しています。その時代区分も講座で紹介されました。
1.農業革命
2.四大文明の登場
3.鉄器革命
4.騎馬遊牧民集団の登場
5中央ユーラシア型国家優勢時代
6.火薬革命と海路によるグローバル化
7.産業革命と鉄道・蒸気船
8.自動車・航空機と電信の登場
騎馬遊牧民集団が重要なのは、馬の家畜化が行われたからです。移動手段としても軍事力としても、騎馬術は大きな技術革命になったと考えられるからです。
あとは、スライドで先生が訪れた国々の写真で現地を紹介。いちいちウットリします。トルファンだー、クチャだー。天山山脈だー。
地図を映しながら地形の説明。
サハラ砂漠〜アラビア半島あたりの砂漠は北緯30〜35度の中緯度高圧帯と言います。赤道を挟んで南側にも同じように砂漠があります。四大文明のうち三つがこの砂漠地帯に生まれています。砂漠は水さえあれば農耕ができるからです。森や密林を切り開くのは大変。
タクラマカン砂漠は、南北に高山に挟まれた地形のため雨が少なく砂漠化したので、中緯度高圧帯とは成り立ちが違います。
先生は近代日本で導入された西洋中心史観に異議を唱えており、ユーラシア世界の歴史を知ることで、真の意味での「世界史」を伝えたい、と思っておられるようです。
なので、白人とか黄色人種とか黒人とか、昔は人種が違うという認識が当たり前でしたが、それは居住地によって外見が変化しただけで皆同じ「ホモ・サピエンス」だということがわかっている、という話にもなります。人類みな平等。
さらに、グーテンベルクの活版印刷がメディア革命を起こしたように言われますが、印刷術は中国で発明されたものだ。漢字は何千、何万字もあるので、活字を組むより木版を彫ったほうが早い。しかしヨーロッパでは文字が約26文字ぐらいなので、活字を作ったら効率がよかった。それだけの違い。
また、「タラスの戦いで紙の製法が西に伝わった」伝説は根強いですが、これも事実とは少し違う。タラスの戦い以前にソグドで紙が使われていた。ちゃんと発掘されている。
ただ、タラスの戦いで捕虜になった製紙工によって、中国の良質な紙の製法が伝わってそれが広まったということだろう、と。
…なので、質問してみました。タラス以前のソグドの文書って何ですか、と。そうしたらムグ文書といって、京大の吉田豊先生の研究があると言います。
で、家に帰って「シルクロードと唐帝国」を見てみたら、ムグ文書のことが書いてありました。あまりにも「チラっと」だったので覚えてなかったんですね…。
なかなか楽しい講座でした。本講座に参加できないのが残念…。
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