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2020年08月13日00:47

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よみがえる正倉院宝物

「よみがえる正倉院宝物 再現模造に見る天平の技」
奈良国立博物館で開催中。

正倉院の模造制作は明治時代から始められたそうです。修理方法を研究するためだったということです。
近年では材料、技法などをX線や材料の分析などを詳しく行い、より忠実な再現を追及しているそうです。人間国宝の熟練の技で再現をするなど、芸術的にも優れた模造品が作られています。

今回その模造品の中から選りすぐりの逸品を展示することになりました。明治のものから最近のものまで。本物は保存の条件などもあり、年に一度の正倉院展でもなかなか出てこない、出したとしてもこれだけの逸品が一度にそろうことはない、ということで、模造品とはいえこれだけのものを見られるのは貴重な機会です。

再現模造するための過程を案内するVTRもあり、制作途上の部品を分解したものが並べられていたり、模造品を作るだけでも大変な労力がかかったことが分かります。例えば今回の目玉商品は螺鈿紫檀五絃琵琶は、その名の通り紫檀の本体に螺鈿の細かい細工が施されています。制作過程のVTRがありましたが、本当に多種多彩な技法が使われ、非常に細かい作業が必要です。

私が注目したのは、箜篌が二張再現されていたことです。正倉院に残る箜篌はバラバラになっています。正倉院の中ではのどんな小さなかけらでもきちんと保存しておくそうで、そんなかけらから失われた部品が発見され、模造品が完成したということです。
二張りの箜篌は大きさも少し違いますが、絃が一つは下の横棒で調弦するつまみが付いていて、もう一つは縦に曲がっている側に調弦のつまみが付いていることです。箜篌と言っても調弦の方法が違うものがあったのか、と感心しました。

鏡はピカピカに光ってきれいで、できた時はこんなに光っていたのか、とか。
箱がいくつかありましたが、細工もですが、下部に四辺に足がついていて、箱の底面がじかにつかないように作っているのだな、とか。
なにしろ完品です。できた当初はこんな風だったのかとわかって、とても興味深いです。
双六のような盤ゲームの盤もあり、碁石もありました。碁石と言っても青と赤で、しかも小さな碁石の表面に絵まで描いてある!
さらにサイコロまであります。サイコロを振る筒も一緒に。こんな時代にサイコロがあったのかとあらためて驚きました。もちろん大陸から渡ってきたのです。

絹織物の再現も、現在の絹糸ではうまくいかないそうです。美智子皇后が養蚕をしているのですがそれが日本種の蚕で、それだと今のものより細くて繊細な絹糸が取れるのでそれを使ったらうまくいったと。さらに赤い染料で「茜」が使われていたのですが、これも皇居に生えていたものがちょうどよくて、許可を得て栽培して染色に使ったとか。
織物の柄も残された布から織り方の技法や図画なども研究を重ねて再現しました。

さらに、無地の織物がいくつか展示されています。何の変哲もない布地に見えますが、これもまた再現することに意味があるのでしょうね。展示品の名前に「調」と書いてあり「租庸調」の調、つまり納税品だった!讃岐国調、武蔵国調、など…。これが「調」か…調って何に使ったのだろう。

天皇と皇后が儀式に使った鋤と箒もありました。天皇が鋤を使って田を耕す真似をして、皇后が箒を使って掃くのです。一時途絶えていましたが、今も同じような儀式が行われているとか。…先ほどの養蚕といい、天皇家がまがりなりにもずっと続いているってすごいなーと思いました。正倉院が1300年伝わってるのもすごい。
私としては、古代ペルシアや唐代のものを調べたいわけですが、正倉院のほうが参考になるものがいっぱいあります。そこから日本的アレンジがあるのを見極めて、中国で作られた状態を考えるわけです。五絃琵琶とか箜篌とか、唐代以降すたれてしまったので、中国では実物が残っていません。日本でもすたれたのですが、正倉院に当時使われたものが残っているわけです。

琵琶でも四絃琵琶もありますが、今回は表面に描かれた絵を模写した部分だけが展示されていました。その図柄が自然の中で狩猟をしているのですが、馬に乗って弓を弾く図柄で、しかもパルティアンショットで構えている!パルティアンショットとは、古代ペルシアで、敵に対して退却すると見せかけて後ろ姿から振り向いて矢を射る方法で、古代ぺルシアから中国、奈良まで図柄のモチーフとして伝わっているものです。それが四絃琵琶に描かれている!さらに襟を折った胡服を着ている!胡服は西域の服装で、唐代に中国で流行しました。そして、この絵の人物は東アジアの顔をしています。西域の顔ではなく、中国か日本の顔です。西域から渡ってきた交流の痕跡が見られる図柄にウットリ…。

復元模造品だということも忘れるぐらい、ひとつひとつの精緻な文物に見とれました。
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