ついに年をまたいでしまいました。
写真左は庭園から見たヘネラリーフェです。
ヘネラリーフェはアルハンブラ宮殿のメインの部分より高い所にあって、夏の離宮として使われたところです。そこまで上がっていくところには果樹園と段々畑があります。食料が自給できるので、包囲されて籠城しても大丈夫なのです。
ヘネラリーフェに入る部分には「下の庭園」があります。ここは新しく作られた西洋風の庭園です。植込みがあって並木道があります。
そこからさらにメインの建物に入って行きます。タレガの「アルハンブラ宮殿の思い出」はヘネラリーフェの方をイメージて作られたそうです。そして中に入りますと、噴水のある長方形の池がある中庭になっています。「アセキアの中庭」です。水の音が軽やかで、確かにここの方が「アルハンブラ宮殿の思い出」の曲のイメージに合うような気がします。
(写真)
イスラムは砂漠に起こった宗教ですので、水を確保してオアシスを作るのは大切なことです。そのためここでもその治水技術を生かし、シェラネバダから水を引いてアルハンブラを水で満たすように作ったのです。山から水を送るのはカレーズの技法に似ているようです。アンダルシアの暑い気候はオアシスの街の技術を応用するのにピッタリでした。
建物に入ってさらに高い所へ登って行きます。そうしたらまた少し小さな中庭があります。「糸杉の中庭」といって、アベンセラッヘス家の密通場面を見ていたという糸杉があるのです。今は枯れてしまっていますが、枯れた幹が壁にくくりつけられています。
ここまで来るとかなり高くなっていて、アルバイシンを中心にグラナダの街が見渡せます。夕方近くなって少し日が落ちてきましたが、黄昏の街の雰囲気がまたいい感じです。宮殿本体の方も見えます。
(写真)
本来のスケジュールなら翌朝アルハンブラ観光のはずだったのですが、繰り上げで夕方になってよかったと思いました。ガイドさんもこの時間の方がいい雰囲気だと言っていました。けがの功名と言うべきか。
これで宮殿の観光は終わり、あとは植込みや並木道の中を降りて行きます。しばらく歩くと小さい出口がありました。
その後はお土産屋さんへ。
グラナダの名産として、寄木細工があるのです。
主に三角や四角など直線的な細かい幾何学模様になっていて、小さい箱から大きい箱、コースターに鍋敷きなどいろいろな寄木細工があります。
ここにはガイドブックもありました。アーヴィングのアルハンブラ物語も、岩波文庫とは別バージョンのものがありました。アルハンブラのガイドブックがオールカラーでとても詳しいみたいなので、それを買うことにしました。中を見てみますと、タイルや鍾乳石模様の構成なども解説してありますし、模様の細部の写真などもありますし、本当に詳しかったです。
後でガイドブックを読んでみますと、本当にここに行ったのかな…と思います。ライオンの中庭の回廊の細かい模様など、あまりちゃんと見ていなかった様な気がします。回廊に入って中庭を見ながらガイドさんの解説を聞いていた覚えはあるのですが、一体私は何を見ていたのでしょうか。アベンセラッヘスの間、二姉妹の間…入った覚えはあるのに、夢の中にでもいたように現実味がなかったような気がします。
プラテレスコ様式、チュリゲラ様式、そしてバロック様式など、ヨーロッパ人の作った装飾過剰な建物は実に饒舌で、見る者に重量感を持って迫ってきます。しかしアルハンブラ宮殿の精緻な装飾は実に静謐で、現実感の薄い夢幻の世界に迷い込んだような気分になります。コルドバのメスキータでも、もとの部分とその中に作られたキリスト教の聖堂の対比もそうでしたが、イスラムの装飾は静謐で、そして無限に繰り返しながらどこまでも遠い所へいざなわれるような気がします。
そうして、アルハンブラの中で、夢の中を漂って、頭にもやがかかったまま出てきたような気がします。
ログインしてコメントを確認・投稿する