mixiユーザー(id:2230131)

2008年08月27日21:53

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We Are the Night/The Chemical Brothers

ニュー・レイヴの勃興は彼等にとっても新鮮な刺激となったのか、あるいは危機感を覚えるに至ったのか…ケムズの新作は「まだまだ若いもんには負けてられんわい」と言わんばかりの意気込みを感じさせる充実作に仕上がった。

キラキラしたシークエンスで空間を埋め尽くしたタイトル・トラック“We Are The Night”から、クラクソンズをゲストに迎えた呪術的なコーラスが近未来的な世界観を演出する“All Rights Reversed”等、始動の予感を感じさせる前半。中盤は過去の作風を彷佛させる先攻シングル“Do It Again”、コミカルなフレーズを上モノとしてファットなスネアが腰に響くヒップホップ・トラック“The Salmon Dance”等、ビートの心地良さを強調したミニマルな楽曲を配置。そして後半に再びシンセを基調にしたフロア・チューンを並べた後、ラストはケムズ史上最も感傷的なメロディが冴え渡るサイケデリック・バラッド“The Pills Won't Help You Now”で有終の美を飾る。
この計算され尽くされた構成と言い、「夜」という狙い通りバッチリなコンセプトと言い、かなり挑戦的な仕上がりだと思う。(案外、そういう風評は見ないけど)
そして僕はこれを聴いて、彼等が“旋律”を奏でられる数少ないダンス・アクトであることを改めて思い知った。重層的なシークエンスの美しさは言わずもがなだし、どの楽曲にも印象的な「引っ掛かりのある」メロディが、必ず存在する。
彼等なら以前のように、バッキバキなブレイクビーツでこのジャンルのパイオニアとしての存在感を誇示することもできただろう。だがあえてビートの物珍しさに依存せず、メロディの美しさで勝負した。それもダンス・ミュージック界のきっての大ベテランが。これを挑戦的と言わずしてなんと言おうか。
僕達は魔法を信じてるんだ。素晴らしい音楽に触れた時に感じる、まるで魔法がかかったようなファンタスティックな瞬間のことだよ。信じられないかもしれないけど、未だにそれを信じているだ。(エド・シモンズ)

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