■池内紀「亡き人へのレクイエム」2016年4月みすず書房刊
この土日に、学生オーケストラ時代の仲間たち12人と、山梨を旅してきた。
4年前に、南米の地に仕事で赴任中に、強盗によって不慮の死をとげた
仲間の一人のお墓参りを兼ねて。
３年前に、八ヶ岳連峰を望む地に、お墓ができて、今年で３回目である。
本書は、その旅に帯同して本。
日本の夏は、慰霊の季節かもしれないと思っている。
この読書日記の３回前には、太平洋戦争後に、異国の地にとどまった人びと
ドキュメントを読んで、慰霊した。
個人的には、私の８月生まれの亡父が亡くなったのも、８月。
本書の惹句を紹介しますね。
“したしかった人、何度か会っただけなのに忘れがたい人、本を通して会った人。
出会いのかたちはそれぞれ、でもずっと大切な存在である人々について、時代と
生活に思いを馳せながら、歩いたあとを辿るように書く。”
“各紙誌等に発表した文章を大幅に再構成・加筆修正した27編に、エッセイ
「死について」を付す。本書で会えるのは、種村季弘、森��秋雄、須賀敦子、
松井邦雄、西江雅之、米原万里、澁澤龍彥、大江満雄、丸山薫、菅原克己、
高峰秀子、野呂邦暢ほかの28人。 ”
あとがきで、著者は次のように結ぶ。
“(本書は)二十七編、二十八人を語っている。ペンによる肖像画の試みである。”
“なんらかの個人的なつながりのあった人びとだ。したしくまじわりを持った人、
会ったのは一度か二度程度だが、強い印象を受けた人、ただ書かれたもので
知って、もっぱら本を追いかけた人”
“それ自体は、とりたてて言うに足りない。偶然の出会いと言えばそれまでだが、
はたしてほんとうに偶然だろうか。期せずして何か機が熟していたのではあるまいか。”
“ほんのちょっとした偶然を意味深い必然に変える何か。それがあって初めて、
その人が自分にとって守護天使のようになった。”
著者の池内紀さんは、1940年生まれのドイツ文学者・エッセイスト。著書に、
「ゲーテさんこんばんは」、「見知らぬオトカムー辻まことの肖像」、訳書に「ファウスト」
ケストナーの「飛ぶ教室」などがあるが、私は、ちゃんとした読者ではなかった。
でも、雑誌とかで文章は馴染んでいたし、レクイエムの対象となった28人は、
過半が馴染みの人ばかりなので、手に取った次第。
で、本日記の最初に戻って、学生オケたちとの今回の旅だが、還暦を過ぎた
仲間たちと、文字通り雑魚寝して、気の置けない仲間たちはいいなぁと思った次第。
もちろん、天井の隅から、亡くなった仲間に、ニコニコして見守られていたのは、
言うに及ばない(^^♪
ログインしてコメントを確認・投稿する