mixiユーザー(id:1040600)

2005年12月20日01:53

160 view

●寄り道ついで (2)/■明瞭な判断

■随筆を読むように

 ・茂木健一郎(著)「脳の中の人生」を読んでいる。
  この本は、「読売ウイークリー」の2004年5月2日号から
  2005年8月21・28日号にかけて掲載されたものをまとめたものだ。

  だから、この人の他の著作に比べると、気楽に読める。
  脳科学の新知見に関する「科学的で」「詳細な」報告を
  求める分には不向きだが、本にするにあたって新たに書き下ろして
  加えられた<この章の『考えるヒント』> を参考にしながら、
  随筆を楽しむつもりで読んでいる。


 ・もともと連載の記事だから、毎回の長さが同じ。
  つまり、この本のページにすると「3ページ」が「節」となって、
  ひとつの「話題」になっている。だから、喫茶店で簡単に読める。
  その中に、面白いのがあったので、書いてみる。


■「判断」の「司令塔」

 ・人間が「判断」をする際には、脳の中でも、「前頭葉」の
  「背外側前頭前野皮質」という部分が重要な働きをしている
  らしい。

  「判断」するために、脳はいろいろな部位で活動する。その各部位の
  活動をモニターし、何に注意を向けて「判断材料」にするか、
  それを決めているのが、この「背外側前頭前野皮質」という部分で、
  脳の「判断活動」の「司令塔」としての役割を果たしている。

 ・脳のさまざまの領域からあがってくる「情報」を参考にしながら、
  この「司令塔」が最終的な「判断」を下す。
  たとえば、車を運転しているとき、前方に現れたのが、
  人なのか、それとも道路標識なのか、自分が見ているものが何かを
  判断するときにも、この部分が、つまり、「司令塔」が活発に活動する。


■明瞭な判断

 ・ところで、簡単な判断を下すときと、複雑な判断を下すとき
  とでは、どちらがより活発にこの「背外側前頭前野皮質」が
  活動するのだろうか。

 ・体験的、直感的には、難しい判断をしているときに、脳のこの部位が
  活性化するように思う。夜間、雨で視界が悪いときの方が
  一生懸命、自分の見ているものが何かを判断しようと、努力している
  ように思う。

 ・しかし、近年の研究から、実は簡単な判断を下すときの方が
  この部位は、よく活性化することが知られている。実験では
  「人の顔」か、「家」か、写真を見て判断するという方法が
  とられたが、結果は、両者の区別がはっきりつき、一見して
  違いがわかるときの方が、「背外側前頭前野皮質」が活性化する
  のだ。


■悩む

 ・このことは、何を意味するのだろうか。

  「私たちは、くよくよと悩み、思い煩っているとき、そのときの
   方が、脳を使っているように思い勝ちである。

   しかし、そのような状態は、脳の成り立ちからいえば、
   むしろ判断したくてもできないような状況に当たる。

   ちょうど、行動をとるべきでないときに、脳の運動野の
   活動が抑制されるが、それと同じように、明確な判断の
   材料がないとき、脳の判断の「司令塔」の活動もまた
   活動低下するのである」

  と、筆者は説明している。


 ・私は、ひとより、より多く悩んだように思う。
  そして、そのことは、結果として、私にいろいろの考え方や
  「私としてどうするか」を考えさせ、考え方を深めさせたように
  思う。

 ・しかし、「脳」本来の活動からいえば、それは「空回り」に
  等しいことで、この「司令塔」の活性化にはつながっていなかった。

 ・「もちろん、悩むことも大切だ。しかし、生きるうえで
   意味があるのは、実は、あまりにも当然な、当たり前に思える
   判断の、その積み重ねではないか。
   当たり前の判断を下すとき、そこには自分という人間の
   深い傾向が現れてくる。
   ひとつ、ひとつの、やさしく見える判断が、人生を形づくる
   のである」

 ・筆者は、そのように述べている。
  私は、これを読みながら、やはり、
  「悩むのが目的なのではなく、解決こそが目標である」ことを
  あらためて思った。

  そして、明瞭な判断、すっきりとした顔。悩みのない男になりたいと
  思った。


■案内
 ・日記「総目次」 −テーマ別−
 ・「Home」&「更新記録」

0 3

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する