ヨーロッパ新世紀　2022年作品

R.M.N
6/10
クリスティアン・ムンジウ監督脚本
マリン・グリゴーレエディット・スターテマクリーナ・バルラデアヌ
鉱山の閉鎖によって、経済的に落ち込んだルーマニアの村。出稼ぎ先のドイツで暴力沙汰を起こした主人公が
故郷に戻ってくると、愛人が責任者を務める地元のパン工場が、スリランカからの外国人労働者を迎え入れた
ことをきっかけに、村人が対立し合う。
ヨーロッパにおけるルーマニアというのは、村人が語るように、ドイツのような国に労働力を提供する
従属的な扱いに甘んじていて、ドイツでの暴力沙汰の原因はドイツ人にジブシー(敢えて言おう)扱いされたから。
労働力がドイツに流出したルーマニアが移民に頼り、移民により自国民の仕事が奪われたと騒ぐ。
その差別されたルーマニア人が自分の故郷に入ってきた出稼ぎのスリランカ人をジブシーとして排斥する。
差別に対して苦言を呈するフランス人に対しても強烈に反応するルーマニア人。
ヨーロッパにおける移民問題の玉突き事故の最終地点を提示しているのだけれど、スリランカ人が
気の毒とは単純に言えないだろう。少数だから大人しいだろうが、多数入植して、入植先で
その文化を尊重することもせず、まともな職も得られずに犯罪者になっていくのを、ルーマニアより前に
移民を受け入れた国々は経験している。日本でもちらほら報道されてきた。
これは回答の無い問題だ。絶望しかない。