煙が立ち昇る。
それを見上げる。
気分は上々?
そうでもないさ、けれど決して悪くはないんだ。
銀色の吸入機。
大地の色に染まったテルペン。
ガラス越しに透かして空を覗く。
夕陽はより綺麗に輝いて。
吸入機に口をつける。
パフ、パフ、パフと三回呼吸する。
ここ最近じゃ久しぶりの『本当』の深呼吸。
薄紫の雲は頭の上を飛び越した。
装飾される夕陽。
ホッと一息つく心と頭。
肩越しに血が通り、頭蓋へと昇っていくのをを感じ、腕を軽く振ればギシリと音がして錆が落ちたように軽くなる。
ああいつまでもそうしていたいのだけれど。
夕陽は当たり前のように向こう側へ落ちてゆく。
束の間の癒しと休息は儚くもプカリと浮かんで後の形もなく消えて。
薄紫の煙と同じように。
夕陽と同じように。
夢と同じように。
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