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2022年05月19日08:47

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「マイ・ニューヨーク・ダイアリーズ」

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作家を夢見るジョアンナ(マーガレット・クアリー)は西海岸からNYに来て、出版エージェンシーでJ.D.サリンジャー担当の女上司マーガレット(シガーニー・ウィーヴァー)の編集アシスタントとして働き始める。
日々の仕事は、世界中から毎日大量に届くサリンジャーへの熱烈なファンレターを処理すること。
感動が籠る手紙に、素っ気ない定型文を返信することにうんざりした彼女は、タブーを犯して個人的に返信してしまう。

予告編から「プラダを着た悪魔」の文芸版という感じがして、楽しみにしていました。
が、こちらの上司マーガレットは、あそこまで暴君ではない。
ジョアンナの成長物語といっても、西海岸に恋人を残したままきちんと別れもせず、NYで新しい恋人と同棲を始め、いきなり別れてまた元恋人の胸に飛び込んだりと、何やってるんだかとも思う。
恋に仕事に揺れ動く、若い女性の青春の日々といえばそれまでなのでしょうが。

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この映画には、サリンジャーの熱心なフアンという人たちが何度も出てきて、その思いのたけを語るのです。
世界中からの熱烈なフアンから届いた手紙を毎日読んでいるジョアンナの、それは妄想でもあるのですが。
ところが私は、サリンジャーをそこまで好きではないので、まったく共感できない。
「ライ麦畑でつかまえて」「ナイン・ストーリーズ」「フラニーとゾーイ」など中学生の時に一通り読みましたが,
永遠の青春小説と呼ばれる「ライ麦…」は、イノセンス(無垢)が鼻に付いて気恥ずかしかったり、後の二作は妙に理屈っぽく、意味あり気なメタファばかりのように思えてどうにも好きになれませんでした。
それでも、自分のトールペイントのHPの題名や、「zooey」というハンドルネームをそこから取ったというのは、何処か引っかかるところがあったのでしょうね。

ただ2年ほど前に観た、サリンジャーの半自叙伝的映画「ライ麦畑の反逆児」で、
彼が第二次世界大戦に従軍して、戦争後ひどいPTSDに苦しんだこと、血を吐く思いであれらの作品を書いたことを知って驚きました。
そして今回の映画を観て、それほどのものかと「ナイン・ストーリーズ」を久しぶりに読んでみたら、なんということ、結構響いて来ました。
「バナナフィッシュ」でシーモアが何故あんな行動を取ったのか?
彼は最後に何故、いきなり自分のこめかみを拳銃で撃ち抜いたのか?
そんなこと誰にも分からない、しかし分からないなりに、シーモアの底知れない苦しみが伝わって来たのです。
問題は書き手の側ではなくて、読み手の側にあったのか。

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という訳で本作は、私にとってサリンジャーを見つめ直させてくれる作品となりました。
90年代のNYの街の景色、だらしない服装を上司が嫌う職場での、ジョアンナのお嬢さんらしい服装も可愛い。
大きな瞳がどこか見たことがあると思ったら、彼女はアンディ・マクダウェルの娘だったのですね。
「グリーンカード」のヒロイン役のアンディ、大好きでした。

公式HP https://bitters.co.jp/mynydiary/#

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