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2017年04月05日08:22

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読書日記No.990(「火花」を読んでみた)

■又吉直樹「火花」2017年2月文春文庫

2年遅れで、又吉直樹の「火花」を読んでみた。

「火花」は、2015年2月号の「文学界」に掲載され、単行本は2015年3月刊。
2015年の第153回芥川賞を受賞し、社会的な「事件」として大きな話題を
さらった。

受賞当時、「火花」が掲載された「文藝春秋」を購入して、長女が読むという
ので貸して、戻ってきたが、読まずにそのままになっていた。

最近、文庫化されたので、どれどれと手にとって読んだら、ほとんど一気読み
に近い感じで、読み終えた。

芸人の話題作、くらいの先入観は、見事に覆され、作品自体に力があって
ぐいぐい惹きこまれた。

文庫が出たので、最近、新聞の広告欄でまたPRされているが、なんと
単行本と文庫本で、累計300万部だという。芥川賞受賞時の「文藝春秋」で
読んだ人や、図書館で借りて読んだ人もいるので、読者は最低でも700〜
800万人はいるのではないか。

一般的に純文学は、初刷が、3000部程度なので、1万を越えれば、よく読まれて
いる作品になるし、ましては、ミリオンセラーとなると、普段純文学を読まない人
が読まないと、とても達成できない。

話題性だけで、作品に力がなく、読み捨てられる本も多い中で、又吉直樹は
たいしたものだとあらためて思った。

作品のモチーフは、芸人の世界の話で、売れる前の若手芸人の交流だが、
未来が見通せない若手芸人の、ヒリヒリとした焦燥感がよく描かれていて、
個別の世界が、普遍の世界につながるような、読み手を惹きつけてやまない
作品だと思った。

マイミクさんの中には、読まれた人も多いと思うが、読んでない人のために
惹句を紹介しておきますね。

“売れない芸人の徳永は、天才肌の先輩芸人・神谷と出会い、師と仰ぐ。
神谷の伝記を書くことを乞われ、ともに過ごす時間が増えるが、やがて二人は
別の道を歩むことになる。”

“笑いとは何か、人間とは何かを描ききったデビュー小説。第153回芥川賞
受賞作。芥川賞受賞記念エッセイ「芥川龍之介への手紙」を収録。”

そうそう、この読書日記も、今回で990回となり、1000回に向けてカウントダウン
が始まったが、今までどおり、特別意識せずに、偶々手に取った本で書きます
ので、よろしくお願いいたします♪
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