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2016年07月25日08:35

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読書日記No.933(それでも、日本人は「戦争」を選んだ)

■加藤陽子「それでも、日本人は『戦争』を選んだ」2016年7月新潮文庫

本日記は、昨夜、いったん書き上げたのだが、操作ミスで、全部パアに
なってしまい、大ショック。(年に2〜3度あるのです。嗚呼)

今朝、気を取り直して再挑戦しております。(汗)

前読書日記で、太平洋戦争後も、日本国外に残って、生き抜いている
名もなき人びとの渾身のドキュメントを取り上げたが、その関連と言っても
いい本。

でも、本書は、私にとっては、どうしても読まなくっちゃと思っていた本だった。

本書が単行本で刊行されたのが、2009年。第9回小林秀雄賞を受賞し、
すでに名著の誉れ高く、マイミクさんも数人以上、本書のことを、日記や
レビューに書かれていた。

読まなくちゃと思っていても、なかなか縁遠かったが、今回、書店の店頭
で、文庫本で7月に刊行されたことを知り、迷わず手に取った。

そうしてやっと読了。
やはり、この本は、日本人なら読んで知っておくべき、日本の近現代史の
戦争の歴史であることを、再確認した。

惹句を紹介しますね。

“膨大な犠牲と反省を重ねながら、明治以来、四つの対外戦争を戦った日本。
指導者、軍人、官僚、そして一般市民はそ れぞれに国家の未来を思い、
なお参戦やむなしの判断を下した。その論理を支えたものは何だったのか。”

“鋭い質疑応答と縦横無尽に繰り出す史料が行き交う中高 生への5日間の
集中講義を通して、過去の戦争を現実の緊張感のなかで生き、考える日本
近現代史。小林秀雄賞受賞。”

帯の文言も紹介。

“日清・日露から、敗戦までー。なぜ、人びとは繰り返し戦争に熱狂したのか?”

“犠牲と反省を重ねてなお、誰が「戦争やむなし」と考えたのか。
画期的近現代史講義!”

章立てと小見出しの抜粋も紹介。

序章 日本近現代史を考える
 ・人民の、人民による、人民のための
 −南北戦争の途中で/なにが日本国憲法をつくったか
第1章 日清戦争  「侵略・被侵略」では見えてこないもの
 ・列強にとってなにが最も大切だったのか
 −日本と中国が競い合う物語/華夷秩序という安全保障
第2章 日露戦争 朝鮮か満州か、それが問題
 ・日英同盟と清の変化
 −ロシアの対満州政策と中国の変化/ロシア史料から何がわかったか
第3章 第一次世界大戦  日本が抱いた主観的な挫折
 ・パリ講和会議で批判された日本
 −松岡洋右の手紙/近衛文麿の憤慨
第4章 満州事変と日中戦争  日本切腹、中国介錯論
 ・満州事変はなぜ起こされたのか
 −満蒙は我が国の生命線/陸軍と外務省と商社
第5章 太平洋戦争  戦死者の死に場所を教えられなかった国
 ・なぜ、緒戦の戦勝に賭けようとしたのか
 −真珠湾はなぜ無防備なままだったのか/日本は戦争をやる資格のない国

やはり、太平洋戦争の敗戦のことを知るためには、日清・日露戦争からの流れ
を知らねばならず、教科書では知りえない、ニュアンスや手触り満載で、非常に
知的に興奮して、読み終えることができた。

そして、この本はなんと、書き下ろしではなく、横浜の栄光学園の中高生の
ために、5日間の講義をした、講義録が、下敷きになっているとのこと。

東大の近現代史専攻の、著者の加藤陽子先生は、教科書を書きたかったようで
ある。

もうすぐ、8月。また、終戦の日が訪れる。

慰霊の意味もこめて、読んだ。

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