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2015年06月24日08:45

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読書日記No.833(異能の外交官・佐藤優の出発点)

■佐藤優「プラハの憂鬱」2015年3月新潮社刊

最近書店に行くと、とにかく佐藤優さんの本が、やたら目につく。
いっときの斉藤隆さんと同様な状態で、あまり多産だと、粗製乱造
ではないかと、忌避する私だが、本書はつい手にとってしまった。

そもそも、佐藤優さんの本を読むようになったのは、つい最近で
ここ1年ほどのこと。雑誌のコラムはたまに目にしていたが、縁
遠い人って、いますよね。

読んだのは「いま生きる『資本論』」だったが、いやぁ、中味が濃くて
知的刺激にあふれた本だった。

佐藤さんが多産なのは、書きたいことが、溜まってあふれ出している
からなんですね。

私のマイミクさんなら、佐藤優さんはたぶんご存知の方が多いと思うが、
略歴を改めて紹介。

1960年生まれ、作家。元外務省主任分析官。
1985年同志社大学大学院神学研究科終了後、外務省入省。在英国日本国
大使館、在ロシア連邦日本国大使館に勤務した後、本省国際情報局分析
第一課において、主任分析官として対ロシア外交の最前線で活躍。
2002年背任と偽計業務妨害容疑で東京地検特捜部に逮捕。
2005年「国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて」で第59回毎日
出版文化賞特別賞受賞。

だいたい、同志社で神学を学んで、外務省に入ること自体が珍しいが、
ソ連の日本国大使館に勤務していた頃、ソ連の崩壊に遭遇し、独自の
人脈をソ連の中でつくり、鈴木宗男に評価されて、日本国のために仕事
をしていたら、鈴木宗男逮捕に連座させられ有罪となった。

デビュー作となった「国家の罠」は、そのあたりの事情を書いたものだが
衝撃作として世に受け入れられ、原作の漫画化した作品まで現れた。

本書の惹句を紹介しますね。

“私が祖国のためにしたことをマサルに知ってほしい。私はもう故郷に
帰れないのだから。1986年ロンドン。外交官研修中の私は、祖国の禁書の
救出に生涯を捧げる亡命チェコ人の古書店主と出会った。”

“彼の豊かな知性に衝撃を受け、私はその場で弟子入りを願い出た――
神学・社会主義思想からスラブの思考法、国家の存在論、亡命者の心理まで、
異能の外交官を育んだ濃密な「知の個人授業」を回想する青春自叙伝。 ”

“異能の外交官、佐藤優の出発点。古本屋を営む亡命チェコ人との邂逅。
それが「知の個人授業」の始まりだった。―26歳、任官2年目。 ”

私は、教育系出版社の勤務が長いが、学卒での最初の仕事が、ロシア語
専門書の輸入販売会社に4年間いたことがあるので、本をとりまく事情も
肌感覚で伝わってきた。

それよりもなによりも、異能の元外交官、現在は作家の佐藤優さんの魂の
出発点を巡る、亡命外国人との出会いと佐藤優という人間の濃い思いに
圧倒された。

魂がビリビリ震えるといった感じを、堪能。

佐藤優さんに興味がある方には、ぜひオススメです。

表紙が素敵だったので、冒頭に掲げておきますね♪
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