すりガラスなめる雫の形状につらなり映る青い裂傷
窓を開け煙にがした引き換えに押し入ってくる金曜の街
陽当たりにカフカの短歌詠まむとすiPhone落ちて居眠りの覚む
父が席 あけてならじと我れ座せり団欒スープ 出汁は引きうく
隧道の微妙にまがる立体につつまれ出でる口は真夜中
秋過ぎて冬来たるらしなぞ寒きはや春の日を片待ちゐたり
先人の為せるままにと意図もない血を結いこみし衣裂くとも
見舞】
横たわる伯父は動かず呼吸だけ目をこじ開ける伯母の切なさ
目をあけぬ伯父の想い出語りつつ伯母は遠くを見やりうなずく
病室のベッドの脇に背をむけていとこの姉さん静かに立てり
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