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2013年01月12日23:43

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■服飾評論

●2013年01月13日 (日)  曇り

 ▼「どう?」と妻が聞く。
  聞くので、うむーっ・・
  と、ちょっとだけ頭をめぐらし
  即座に、思いついたことをいう。

  「雪合戦のちびっ子おばちゃんてとこかな?」

  私が休みで、妻が出勤日の
  いつもの、玄関口での会話である。


 ▼どこかここか、毎日の服装に変化をつけて
  妻は出勤するのであるが、
  たとえ「衣装持ち」と雖も、身に纏う着るものすべてが
  そうそう変る訳もなく、また季節による制約があり、
  夏には夏の服装が、冬には冬の装いがある。

  だから、上着や外装や、あるいは首や手や頭に着装する
  装飾の類など、その組み合わせ、言うところの「コーディネイト」で
  勝負することとなる。


 ▼「どう? 変じゃない?」
  と、出掛けに妻が聞くようになったのは、
  いつ頃だったかはっきりしないが、
  城崎に一泊旅行したことがあり、そのとき
  妻は、地場産業の袋物などを扱う土産物屋で、帽子を買った。

  気にいった物が何品かあり、ハンチングのようなのや
  ベレーのようなの、鍔広のもの、など
  いくつかあって、搾り切れずに、二つ買って、
  散歩の帰り道に、妻は、
  「ちょっと待って!」と
  さっきの土産屋で、選から落としたもう一品も
  買った。
    
 ▼城崎から帰り、次の私の休みの日、
  妻は、どっちの帽子にするか、いったんは自分でこれがいいと
  決めた方をかぶってみて、ついでに、私の意見も求めた。

  「そうぉ? やっぱり、こっちがいい? う〜ぅん、こっちね。
   あたしも、はじめ縞があるから、こっちが合うと思ったんダ。
   じゃぁ、きょうはこっちね!」
  
  まぁ、そんな会話が始まった。
  たぶん、その頃からだと思う。出掛けに
  「どう、ヘン?」と妻が聞くようになったのは。


 ▼つい先日、私は正岡子規のことで、「本」を読んでいた。
  子規は「子規」以外、いろんな俳号をもっている。
  そのひとつに、「獺祭書屋主人(だっさいしょおくしゅじん)」というのが
  ある。

  「獺」とは「カワウソ」のことである。

  カワウソは捕らえた魚を並べてから食べる習性があり、
  かつて中国では、その様子は、まるで人が祭祀を行って、
  天に供物を捧げる時のようであると信じられ、これを
  「獺祭魚」と言った。

  後世の唐代の大詩人である李商隠は、尊敬する詩人の作品を短冊に書き、
  左右に並べ散らしながら詩想に耽った。
  その短冊の並ぶ様を、故事になぞらえ、自らを「獺祭魚庵」と號した。

  ここから「獺祭魚」には「書物の散らかる様」という意味が転じ、
  子規は、俳号に「獺祭書屋主人」を用いたという。


 ▼それで、そのとき、
  妻は、モスグリーンに褐色がかかった皮のコートを着ていたので
  咄嗟に、「カワウソおばさん!」と言った。

  「何よ、それ!」

  「川から上がってきて、毛が濡れているカワウソみたいだ」

  私は、「よう似合っている!」と、
  褒め言葉も付け加えたが、妻はプンプンして
  出ていった。

  
 ▼きょうは、「ええやんか、かっこいいわ。まるで、
  雪合戦のちびっ子おばちゃんみたいや!」と褒めた。

  ちょっとスポーティーで、いまから子供が雪合戦に
  出向くように見えた。

  妻もまんざらではなさそうで、にっと笑った。

  そして、「ちびっ子って言うな!、おばちゃんって言うな!」
  と言って、機嫌よく出ていった。


   

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