7/11(水)、静岡文化芸術大学<西洋美術史��>の社会人聴講、第14回目。
18世紀、ロココ、ゴヤの続き。
《1808年5月3日プリンシペ・ビオの丘での銃殺》1814、プラド美術館(→写真1)
右に銃を構えて並ぶナポレオン軍の非人間的姿(隠されていて1人もその顔が見えない)と、左のスペイン人達の憐れな表情。しかし、その中で1人、白いシャツの男の英雄的表現。人間の残虐さ、愚かさ。崇高でない人間の本来の姿。
《巨人》1808-12、プラド美術館
46歳でゴヤは聴力を失った後、世間と隔絶された生活を送るようになる。
これは、彼の家の食堂に飾られた「黒い絵」のシリーズの1作と考えられていたが…。
「巨人」とは何か?…�（�軍のその規模の象徴。前景で逃げまどうスペイン民衆。�△修譴箸枠紳个法∧�軍からスペインを守る偶像的象徴として。
しかし、2009年のプラド美術館の発表により、これがゴヤの真作ではなく、弟子,工房,追随者の作という事が、世に知らされた。
《我が子を食うサトゥルヌス》1820-24、プラド美術館(→写真2)
「黒い絵」連作の1枚。
サトゥルヌスに食べられる子の首や腕からは血が流れる。近年、この血の中から、ゴヤのDNAが発見された。
鑑定法技術の革新により、真贋やこうした新情報がもたらされるようになってきている。しかし、一朝一夕にはできない、時間がかかる。
また、真作でないという事と、その作品の持つ美術的価値が別のものである事は、充分留意する必要がある。
「黒い絵」は享楽的ロココ美術とは全く違う世界に到達している。
ゴヤは、18世紀絵画の全てを吸収し、19世紀への巨大な橋渡し役を果たした。
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フランスの国庫破綻は、フランス革命に遭遇したルイ16世とマリー・アントワネットの奢侈のみによるのでなく、15世時代からの財政悪化の要素が大きかった。
それに、天候不順が何年も連続した事による農作物収入の悪化が追い討ちをかけた。
16世とアントワネットは、大臣達から国庫状態を殆ど知らされていなかった。
2人の生活は意外に質素なものだった。(*)
20数年前の1989年、フランス革命200年記念年以降、歴史の洗い直しがされ、新事実が明るみに出つつある。
16世とアントワネットの暮らし(「パンがなければケーキを食べればいい」等の発言に象徴される)は、歴史的な脚色が行われたものだった事が判ってきた。
(*)宮廷や上流階級で流行った「○○ごっこ」。…即ち「農民ごっこ」「羊飼いごっこ」等。
《プチ・トリアノン（小トリアノン宮殿）》1762-68、ジャックザンジュ・ガブリエル設計
ルイ15世の愛妾ポンパドゥール夫人の為に建てられたが、完成時は同夫人は没している。ルイ16世によってマリー・アントワネットに与えられた。
彼女は農村に見立てた小集落を庭に作らせた。それが、《ル・アモー（王妃の村里）》である。1783-85、リシャール・ミク設計。(→写真3)
残りの時間は、この前期授業の復習に充てられた。<西洋美術史��>はフランス革命迄なので。
次回は、後期授業のガイダンスを行う、との事。
したがって、一連の<西洋美術史��>のレポートは、実質これで終わりとなるだろう。
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