●8月12日(金) 晴れ
▼先日、次男から
もし、日程が合うなら盆に帰ろうか、
と思っていると電話があった。
私も妻も盆休みはないが、
13日、14日は、土・日であり、私は休みである。
「まあ、お母さんの都合を聞いてみないと・・」
そう言って、私は電話を切った。
電話を切る前、受話器をにぎって
「じいちゃん、あはははは・・」と
はしゃいでいる孫娘の声が響いた。
▼きょう、定休日であるはずの妻は、出勤しており、
帰宅すると、宅急便で
次男の嫁さんの実家から「ピオーネ」が届いていた。
年に数回しか、御開帳しない仏壇の前に
落雁のお供えが置いてあった。
終の棲家になるこの団地に引っ越してきて、
もう間もなく三十年になるが、
どんなにながく住んでも、ここが
故郷になることはない。
▼我が家の子供たちにとって、「故郷」というものが
あるのとすれば、それは、西宮、明石、須磨の
いずれなのだろう。
西宮に住んでいた頃、
思いついて「蚊帳」を買った。
子供たちに「蚊帳」とはどんなものか、
経験させたくて買った。
当時でも、蚊帳はもう珍しかった。
「ベープマット」とかいう
蚊の駆除剤を使っていた。
▼この地に引っ越してからは、
蚊の駆除剤の「蚊取り線香」の類は
一度も使ったことがない。
下水道設備がよくなり、
側溝が整備されたからだ。
「蚊帳」は畳んで持ち上げるとずっし重く、
押し入れに収めようとすると嵩張った。
あの「蚊帳」は、いまどうなったのか・・。
子供たちは「蚊帳」のことを覚えているのだろうか。
垂乳根の母が釣りたる青蚊帳を
すがしといねつたるみたれども
(長塚 節)
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