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2009年03月20日23:52

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●うみうし独語(306)/■なまめく春

■なまめく春

 ●きのう、たまに行く花の名前のついた喫茶店を
  出ようとすると、いつもは無愛想で、ぶっきら棒な女店員が

  「まいど、ありがとうございます」

  と笑顔で声をかけてきた。
  こんなことは、めったにないことだ。


  パラパラ、降り出した雨は
  この街をなごんで見せた。

  舗道にあたった雨が土をまきあげるのか
  なま温かい埃のにおいがした。


  パチンコ屋の屋上の店名を書いたネオンサインが
  赤と緑の配色でうるんでいた。



 ●春の夕暮れの
  こぶしの花は、遠くから見ると
  そこだけ明るく、
  大きな花びらの桜が咲きほこっているようにも
  見える。
  

  大きなクスノキは深く暗い黒々とした緑の影を落とし、
  はらはらと葉っぱを落としていた。



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