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2009年02月03日00:06

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級友

職場のアクトタワーに中学時代の級友がいる。

初めは他人の空似かと思ったが、通勤時に何度もすれ違う度、それは確信に変わった。
それ以降、彼とは3日に1回のペースですれ違うようになった。
そんな日々が、かれこれ1年間続いている。

そう、彼と僕は一度も会話をしたことがない。
少なくともアクトタワーの中に限っては。

小・中学時代は比較的よく遊ぶ仲だったのだ。一緒の班になったこともあったし、よく学校帰りに別の友達の家でテレビゲームに興じてた。
ところが卒業と同時にパッタリと会わなくなった。

喧嘩別れしたとかドラマチックな別れじゃなく、ただなんとなく会わなくなっただけ。
まあ、よくある話。
だがこの空白の12年間は、二人の関係性を無効化するには十分過ぎる年月だった。

早い段階で、「おぅ!?誰かと思ったら!」って話しかければ済む話だった。
だがいつも顔を合わせるシチュエーションは、急ぎながらエレベーターに乗り込む瞬間だったりするので、お互いになんとなく面倒で話しかける機を逃してしまったのだ。

度々顔を合わせるようになった今、「おぅ!?誰かと思ったら!」って話し掛けるのは不自然だ。
「前から似てると思ってたけど!もしや!?」ってのも、遅すぎる。

かくして、二人の間では「お互いの存在に気付いてないことにしとこう」という暗黙の了解が成立してしまった。

僕は知っている。
彼が僕の姿を発見した時、バツが悪そうに目を反らすのを。同じく僕も、彼とは目を合わさぬよう背を向ける。

邂逅を果たした二人のサラリーマンは、黒いスーツに身を隠し、そして人混みの中に自らの存在を包み隠す。
大人になってしまった二人は、幼き日の約束を果たすことはできない。
僕達は二度と相見えない。
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