mixiユーザー(id:2230131)

2024年05月24日11:17

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Fossora/Bjork

 前作『ユートピア』が「天国から届けられたサウンドトラック」。まさしく桃源郷のように幸福な「天」のサウンドだったとしたなら、本作『フォソーラ』は大地やキノコをイメージしたダークな「地」のサウンド。
 コロナ過による移動制限で、世界を飛び回っていたビョークが故郷レイキャビクに留まらざるを得なくなり、根を張るようにして制作に没頭した経緯も作風に反映されている模様。

 毎回アルバム毎に明瞭なコンセプトを打ち出してくるのも、かつてはトレンドセッターだったビョークの特徴。使われている楽器群も「地」のイメージで徹底されている。今作は電子音の使用が極端に抑えられており、クラリネットなど自然な音を活かした木管楽器、もしくは彼女自身の声を活かしたミニマルなアカペラが中心。
 
 象徴的なのは、“Atopos”や“Fossora”で展開される、ドラムスに過激なエフェクトを加えたガバというダンス・ミュージックの大胆な導入。等間隔で踏み鳴らされる原始的なビートは、大地の雄大さを実感させるような勇敢さを讃えながら、ある種の、野蛮で、グロテスクで、土着的な…なんとも形容しづらい禍々しい世界観を構築している。
 なんかビョークって、人間を超越したなにかになろうとしていて、その過程で動物も超えて、挙句、菌類になって自然の一部と同化したがっているような(笑)。この超自然的で禍々しい世界観、僕はラース・フォン・トリアーの『アンチクライスト』という映画を連想したりもした。
(トリアー映画に出てた頃が懐かしい…)

 そう言えばビョークってこんな感じだった…と久々に聴いて恐れ戦きつつ、それにしてもこんなに前衛的な音楽だったっけ?とww。我が耳を疑っていた。
 たしかにビョークは年が経つにつれ難解な作風になっていて、特に近作は理解するまでに相当な時間を要して聴き込む必要があったんだけれど。その中でもこれはトップクラスの難しさではないだろうか。

 正直、今回はお手上げです。ビョークの声は常に聴こえてくるのだが、例によってそのメロディは捉えどころがなく、その配置も奇妙だし、バックの音との位相、コートどの関連性もわかりづらい。聴き進めるガイドが一切無いというか、リスナーの感情を誘導させるような演出的なアレンジが皆無。
 まあ、つまり前衛音楽ってことなんだろうけど。最近こういう系の音楽を聴いてなかったから免疫が落ちてるのかもなぁ…。

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