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2021年05月23日06:48

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風林火山伝 第43話 信玄と長政との対面

武田信玄は小谷城に入城し、浅井長政と対面した。長政は天守の大広間に信玄を上座に招き、挨拶した。「信玄公にお会いすることができ、光栄でございます。甲斐からの遠路の出陣大儀でございます。ここにおわすは我が正室 お市であります。」

信玄は「長政殿にお目にかかることができうれしく思う。長政殿のご活躍は甲斐にも届いておる。関ケ原よりのお迎えの兵、感謝申し上げる。海北綱親というよき重臣がおり、浅井家も安泰でござるな。また、そこにおわす信長公の妹 お市の方は噂通りの美女でござるな。このような美女を正室にもてるかなりの長政殿は幸せ者ですな。お市の方、こたびの岐阜城攻めで兄 信長公の無礼許してくだされ。」

お市は信玄に「兄 信長とは金ケ崎の戦いで、浅井が織田を裏切り、朝倉に加勢したときに、兄との縁を切っております。お気を使いは無用にございます。」

「ところで、公方様はいつこの小谷城にこられるのでございますか?先日の書状によると公方様をこの小谷城にお招きし、公方様とともに京へ上洛し、武田の権威を天下に示すのではなかったのですか?」と長政は信玄に問うた。

「実のところをいうと、公方様に小谷城に来るよう書状をしたためたのであるが、公方様はこの小谷城に来ることに難色を示しているご様子。公方様の真意を確かめるため、光秀を公方様のもとに送っているところである。あと一言言っておくが、今回の京への上洛は室町幕府の権威を取り戻すためであり、わし自らが天下を治めるのではない。今後の室町幕府は長政殿とともに支えあい、天下泰平の世にしたいのじゃ。頼りなのは、京のすぐ近くにおわす長政殿である。しかしながら、信長は伊勢長島で勢力を盛り返しつつあり、近いうちに信長と決戦に挑む所存である。なお、信長を討ちとり、室町幕府の復活を見届けたあとは、わしは嫡男 勝頼に家督を譲り、勝頼を甲斐にもどし、わしは、駿府あたりで隠居しようと考えている。」と信玄は言った。

「ところで、その信長であるが、窮地に陥ったのか、わしと手を結び、ともに信玄公を討つとの書状が昨日きたところである。信長は公方様ないがしろにするとともに、比叡山を焼き討ちにし、仏をも情け容赦なく残虐する大悪人であり、手を結ぶつもりはないと返答いたしました。そんな、信長をなにとぞ一泡吹かせてくださいませ。長政も喜んで合力致します。」と長政は言った。

一方 明智光秀は京に到着し、足利義昭に対面した。義昭は自ら小谷城に行き、
信玄とともに上洛することにやはり難色を示していたのである。

                                   つづく


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