mixiユーザー(id:55664038)

2019年10月24日21:04

89 view

詩 『夢の中、車が見つからない』


 昨日、こんな夢を見た。

 薄紫色に染められた駐車場。

 車が見つからないんです。

 このままでは。 ああこのままでは…

 どこにも行けない。 帰れない。 だから探すのに見つからない。 見当たらない。 見えない。

 探すけれど、見当たらない。

 どこに置いたか? 記憶は磨り潰されてペシャンコ。 何処へ?

 消え果て ただ当て所もなく彷徨う。

 空は青くても 夕方になっても 星空に照らされても こんなにも他人の車はあるというのに私だけの車だけがない。

 端から端へ。 隅から隅っこ。 また最初から。

 そして気づけば他者の車だけが入れ替わってまた始めから。

 気づけば、錆び付いた他人の車だけが置いてあって、それでも探すけれどわからない。
 
 疲れ果てて座り込んで見上げれば、空はただ青い。 

 嫌味なまでにただ青くて風だけが空しく頬を撫でていく。

 ふと気づく。 幾夜も時は過ぎて、誰もいなくなり、全ては錆びて朽ちていくのに自分だけが何も変わらず。

 幾万もの夜を越えて一人でただここにいたことを。

 それでも見つからない。

 自分だけのそれだけが、探しても、探しても、ああ探しても…。

 


0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する